令和4年度 香川県立中央病院 病院指標

  1. 年齢階級別退院患者数
  2. 診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  3. 初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数
  4. 成人市中肺炎の重症度別患者数等
  5. 脳梗塞の患者数等
  6. 診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)
  7. その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)
年齢階級別退院患者数ファイルをダウンロード
年齢区分 0~ 10~ 20~ 30~ 40~ 50~ 60~ 70~ 80~ 90~
患者数 531 141 245 415 768 1,212 1,817 3,440 1,925 390
当院は高度急性期病院および地域医療支援病院として、質の高い医療を幅広い年齢層の患者さんに提供しています。全体で見ると、60歳以上に占める割合が全体の約7割となっており、高齢者の入院が高くなっています。
年齢ごとに疾患の構成を見てみると、10歳未満は呼吸器系疾患や新生児疾患が多く、10歳代では外傷性疾患が最も多く、次に腎・尿路疾患となっています。20歳代から30歳代を中心に女性生殖器系疾患や産褥期疾患が増加傾向にあります。また、40歳代でも女性生殖器系疾患が多く見られますが、次いで消化器系疾患も増加しています。50歳代から80歳代にかけて消化器系疾患、循環器系疾患、腎・尿路系疾患が上位を占め、90歳以上では加えて外傷疾患、神経系疾患も増加しています。
診断群分類別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
総合診療科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
180030xxxxxx0x その他の感染症(真菌を除く) 副傷病なし - - 9.48 - -
100202xxxxxx0x その他の副腎皮質機能低下症 副傷病なし - - 9.67 - -
180010x0xxx0xx 敗血症 1歳以上 処置2なし - - 19.61 - -
110310xx99xxxx 腎臓又は尿路の感染症 手術なし - - 13.61 - -
100391xxxxxxxx 低カリウム血症 - - 13.08 - -
総合診療科では、原因不明の発熱や炎症性疾患が多く集まり、その中には全身性自己免疫性疾患、菌血症や内分泌疾患の患者さんが多く、診断のために入院する患者さんが多く見られます。
消化器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060100xx01xxxx 小腸大腸の良性疾患(良性腫瘍を含む) 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術等 215 5.15 2.64 0.93% 69.80
060020xx04xxxx 胃の悪性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術等 148 8.11 7.76 0.00% 75.19
060340xx03x00x 胆管(肝内外)結石、胆管炎 内視鏡的胆道ステント留置術等 処置2なし 副傷病なし 104 6.99 8.94 2.88% 75.30
060090xx02xxxx 胃の良性腫瘍 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術等 66 6.12 6.32 0.00% 73.18
060010xx04xx0x 食道の悪性腫瘍(頸部を含む) 内視鏡的食道粘膜切除術等 副傷病なし 37 7.95 8.87 2.70% 69.62
消化器内科では、専門医が胃癌、大腸癌、食道癌の内視鏡手術を積極的に行っており、完全切除率も極めて高いです。多くの手術を行う必要性のため、週末入院月曜手術の必要性もあるため、胃癌の内視鏡手術の在院日数がやや長いことが今後の課題です。また、胆管の結石や感染症は重症化する場合も多く、広いエリアから緊急内視鏡処置を受け入れています。処置を速やかに行い、地域に継続加療をお願いするため、転院率が高くなっています。消化器癌に対する抗がん剤治療の専門医が、外科内科の癌患者さんに積極的に治療を行っています。重症の腸閉塞患者の緊急処置も積極的に受け入れ、改善後は、周辺医療機関と連携して在宅復帰を支援しています。
肝臓内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060050xx97x0xx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) その他手術あり 処置2なし 109 11.29 10.34 0.92% 74.58
060050xx030xxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法等 処置1なし 30 7.50 7.56 0.00% 75.63
060300xx99x00x 肝硬変(胆汁性肝硬変を含む) 手術なし 処置2なし 副傷病なし 24 10.50 11.08 8.33% 66.88
060050xx99000x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 19 3.84 8.28 10.53% 73.63
060050xx99040x 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) 手術なし 処置1なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副傷病なし - - 8.20 - -
肝臓内科の入院患者さんで一番多い疾患は肝細胞癌です。肝細胞癌の多くは慢性の肝疾患に発生してきますので、肝臓の線維化が進んだ慢性肝炎や肝硬変では定期的にエコー/CT/MRIなどの画像検査を実施することが必要です。線維化の程度は、血小板数減少、M2BPGi/ヒアルロン酸/Fib4indexなどの血液検査、ファイブロスキャンで肝臓の脂肪含量や硬度を測定し総合的に判断しています。肝疾患の原因や進行度を詳細に把握するためには肝生検入院(1泊2日)を行っています。肝細胞癌に対する治療方針は肝癌のステージ、大きさと個数などの腫瘍の状態と肝予備能から最新の治療ガイドラインに沿って患者さんに適した治療を行っています。肝細胞癌は年率20%の再発があるため、初回治療時はもちろん再発治療時においても、外科切除、内科的局所治療、薬物治療のどれが最適であるかを検討し治療を選択することが重要です。当院では切除の適応はない場合、腫瘍濃染があるなど肝動脈化学塞栓術(TACE)の適応がある場合はTACEを行い、その後に焼灼療法の適応がある場合には焼灼治療を追加することが多いので肝細胞癌の治療としてTACEが最も多い手術法となっています。経皮的な焼灼療法としてはラジオ波焼灼術(RFA)、マイクロ波焼灼術、症例数は少ないですがエタノール局注療法も行っています。切除不能、TACE不応・不能・不適な肝細胞癌、RFAの適応外の場合は薬物治療(分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬)を行いますが、治療が奏効し局所治療の効果が期待できるように小さくなった場合は根治目的で切除、TACEやRFAなどを実施しています。門脈に肝癌が浸潤している場合には放射線治療を行うこともあります。
肝硬変症の合併症としては肝性脳症と難治性の胸水と腹水があります。肝性脳症の治療においては、肝性脳症治療のためのクリニカルパスを作成して食事指導や生活指導や服薬管理を行い、また入院中および自宅での食事・排便・羽ばたき振戦の有無、服薬状況などを患者さんやご家族が簡便かつ的確に記載できる様な管理ノートをお渡しています。この取り組みで日常でわかりにくい体調の変化も早期に把握しやすくなり、入退院の回数が減少してきました。
難治性胸水・腹水に対しては穿刺排液した胸水と腹水を濾過と濃縮後に再静注する胸水・腹水濾過再静注法(CART)を実施しています。
呼吸器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副傷病なし 64 7.70 8.60 1.56% 72.88
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし 経気管肺生検法等 処置2なし 副傷病なし 30 2.10 3.05 0.00% 72.93
040110xxxxx0xx 間質性肺炎 処置2なし 30 26.97 18.57 10.00% 75.43
040040xx99041x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 肺炎等 24 9.88 14.42 0.00% 74.58
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし 17 13.24 13.49 11.76% 73.41
呼吸器内科では、肺癌(肺の悪性腫瘍)の化学療法の患者さんが最も多くなっています。近年、薬物療法の進歩により分子標的薬や免疫チェックポイント阻害薬による治療が増加しています。
当科では肺癌の化学療法を行う場合、原則初回治療は2週間の入院で効果・副作用を評価し、2回目からは外来通院センターで治療を行っています。
間質性肺炎の急性増悪による呼吸不全に対し、酸素療法・人工呼吸療法、ステロイド療法などを行っています。
糖尿病・内分泌内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
10007xxxxxx1xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) インスリン製剤(注射薬に限る) 12 14.17 14.28 0.00% 70.50
100040xxxxx00x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 処置2なし 副傷病なし 10 11.80 13.43 10.00% 65.80
10007xxxxxx0xx 2型糖尿病(糖尿病性ケトアシドーシスを除く) 処置2なし - - 10.80 - -
100040xxxxx01x 糖尿病性ケトアシドーシス、非ケトン昏睡 処置2なし 誤嚥性肺炎等 - - 23.75 - -
040081xx99x0xx 誤嚥性肺炎 手術なし 処置2なし - - 21.11 - -
糖尿病・内分泌内科において、2022年4月1日~2023年3月31日までのDPC上位5位の退院患者さんは、1型糖尿病12例、2型糖尿病21例でした。また重篤な代謝障害(高血糖高浸透圧症候群や糖尿病性ケトアシドーシス)は12例でした。誤嚥性肺炎での入院症例もありました。
血液内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
130030xx99x3xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 61 7.95 15.07 0.00% 70.57
130010xx97x2xx 急性白血病 手術あり 化学療法 27 32.00 37.16 0.00% 68.70
130010xx97x9xx 急性白血病 手術あり アザシチジン+ベネトクラクスあり 26 36.08 36.20 15.38% 78.04
130030xx99x4xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし リツキサン 25 11.64 10.00 0.00% 70.52
130030xx99x5xx 非ホジキンリンパ腫 手術なし リツキシマブ+フィルグラスチムあり等 18 17.50 19.67 5.56% 70.28
血液内科において、急性白血病に対する抗がん剤を用いた化学療法は、治療に伴う血球の減少が強いために入院で行う必要があります。無菌室を利用した治療となり、入院期間も長期間となります。高齢の急性骨髄性白血病の場合、従来の抗がん剤併用化学療法ではなく新規抗腫瘍剤のアザシチジン+ベネトクラクス併用療法が標準治療となり、施行件数が増えています。
悪性リンパ腫の治療では、抗体製剤を抗がん剤と併用する場合が多く、初回投与時の薬剤アレルギー発現の可能性があります。そのため入院での投与が必要となり、アレルギーの観察やコントロール、また血球減少の経過観察を行っています。悪性リンパ腫の再発時や治療抵抗性となった場合は、救済療法(サルベージ療法)を行うため治療の度に入院する必要があり、その回数が多くなります。副傷病がある場合や造血細胞移植や輸血等の手術がある場合は入院期間が長期化する傾向があります。
腎臓・膠原病内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110280xx991xxx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 経皮的腎生検法 38 3.79 6.45 0.00% 48.74
110280xx9900xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 処置2なし 33 13.91 11.77 9.09% 54.24
110280xx9901xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 手術なし 処置1なし 人工腎臓 15 13.60 13.82 6.67% 67.53
110280xx97x1xx 慢性腎炎症候群・慢性間質性腎炎・慢性腎不全 その他手術あり 人工腎臓 11 11.73 24.57 9.09% 66.18
110260xx99x0xx ネフローゼ症候群 手術なし 処置2なし 10 19.60 20.06 0.00% 68.30
腎臓・膠原病内科では、蛋白尿/血尿の診断のための腎生検、腎炎/ネフローゼに対する免疫抑制療法を行っています。IgA腎症は10-20代に好発する慢性腎炎で早期に診断することで、治癒を目指した扁桃摘出術とステロイドパルス療法を組み合わせた治療を積極的に行っています。また高齢者に多い急速進行性腎炎や広く各年齢にみられるネフローゼ症候群に対してステロイドや免疫抑制剤、生物製剤を組み合わせた治療を行っており、良好な成績を収めています。慢性腎不全の食事療法や生活指導、透析療法選択のための教育入院を行っており、保存期腎機能を保持するのみではなく、透析療法の速やかな導入も行います。腹膜透析では50名以上の患者さんの治療を行っており全国有数の施設となっています。関節リウマチを中心とする膠原病や類縁疾患の早期診断、生物製剤や分子標的治療薬を用いた先端的な治療を行っています。
循環器内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050070xx01x0xx 頻脈性不整脈 経皮的カテーテル心筋焼灼術等 処置2なし 461 5.08 4.65 0.22% 67.83
050050xx0200xx 狭心症、慢性虚血性心疾患 経皮的冠動脈ステント留置術等 処置1なし 処置2なし 249 5.36 4.26 0.80% 72.23
050050xx9910x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心臓カテーテル法による諸検査等 処置2なし 転院以外 168 2.73 3.04 0.60% 72.85
050210xx97000x 徐脈性不整脈 手術あり 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 97 7.62 9.89 4.12% 81.61
050050xx9920x0 狭心症、慢性虚血性心疾患 手術なし 心カテ検査+血管内超音波検査等 処置2なし 転院以外 63 2.71 3.22 0.00% 75.54
循環器内科で1番目に多い症例は、心房細動等不整脈に対するカテーテル治療を目的とした入院です。2番目に多い症例は狭心症に対しての冠動脈のカテーテル治療・ステント留置術となります。3番目に多い症例は、狭心症などに対する治療前・治療後の心臓カテーテル検査のための入院です。4番目に多い症例は房室ブロックなど徐脈性不整脈に対するペースメーカー植え込み手術のための入院です。5番目に多い症例は、狭心症などに対する治療前・治療後の心臓カテーテル検査のための入院です。
脳神経内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010155xxxxx2xx 運動ニューロン疾患等 エダラボン 25 10.48 15.97 0.00% 54.12
010160xx99x00x パーキンソン病 手術なし 処置2なし 副傷病なし 16 11.63 18.58 18.75% 75.69
010110xxxxx4xx 免疫介在性・炎症性ニューロパチー ガンマグロブリン 14 10.50 16.50 14.29% 54.29
010080xx99x0x1 脳脊髄の感染を伴う炎症 手術なし 処置2なし 年齢15歳以上 10 13.90 16.85 40.00% 62.40
010130xx99x4xx 重症筋無力症 手術なし ガンマグロブリン - - 15.62 - -
令和4年度に脳神経内科で入院治療を行った疾患で最も頻度が多かったのは、運動ニューロン疾患でした。運動ニューロン疾患とは筋萎縮性側索硬化症(ALS)をはじめとする運動神経が障害される疾患の総称です。当科ではALSの患者さんの診療に積極的に取り組んでいます。パーキンソン病は主には外来で診断治療をしますが、パーキンソン病類似疾患との鑑別が難しい疾患なので、入院して精査する場合もあります。当院は救命センターを有する総合病院という役割を担っているため、脳神経内科ではウイルスや細菌等の感染症による脳炎や髄膜炎の患者さんの治療を担当することが多くなっています。また、重症筋無力症や多発性硬化症・視神経脊髄炎といった神経免疫疾患の治療も積極的に取り組んでいます。
緩和ケア内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx99x0xx 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 手術なし 処置2なし - - 8.36 - -
06007xxx9900xx 膵臓、脾臓の腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし - - 10.79 - -
090010xx99x0xx 乳房の悪性腫瘍 手術なし 処置2なし等 - - 9.71 - -
040040xx9900xx 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 処置2なし - - 13.49 - -
120010xx99x0xx 卵巣・子宮附属器の悪性腫瘍 手術なし 処置2なし - - 9.06 - -
緩和ケア部門では、がんの種類を問わず、つらい症状が出て、一般的な治療では十分苦痛の緩和が出来ない患者さんに、専門的な緩和治療・ケアを提供しています。苦痛を緩和する治療や、気持ちのつらさなどを和らげるケアなどを行い、より快適で苦痛の少ない療養生活を過ごして頂くことを第一に考えて治療や療養のサポートをしています。症状が緩和と共に療養環境整備の支援、本人の思いをみんなで共有するためのアドバンス/ケア/プランニングのサポートも行っています。緩和ケア病棟(令和4年11月から休床中)に来られる患者さんのがんの原発部位については、急激に症状が悪化することが多い膵臓がんの患者さんが多いですが、その他の消化器系の患者さんや肺がんの患者さんも多くなっています。それ以外にも様々な種類のがんの患者さんが入院されており、種々のがん患者さんにそれぞれの状況に応じた診療・ケアを行っています。
腫瘍内科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
03001xxx99x40x 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副傷病なし - - 9.27 - -
180050xx99x1xx その他の悪性腫瘍 手術なし 化学療法等 - - 13.03 - -
03001xxx97x4xx 頭頸部悪性腫瘍 その他手術あり 化学療法ありかつ放射線療法なし - - 23.40 - -
03001xxx99x0xx 頭頸部悪性腫瘍 手術なし 処置2なし - - 12.44 - -
050340xx97xxxx その他の循環器の障害 手術あり - - 13.84 - -
腫瘍内科では、原発不明がんや稀少がんなどの化学療法を行ってきましたが、最近では他診療科から依頼された免疫チェックポイント阻害薬などの治療も入院で行っています。
小児科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
140010x199x0xx 妊娠期間短縮、低出産体重に関連する障害 2500g以上 手術なし 処置2なし 46 6.54 6.13 6.52% 0.00
060380xxxxx0xx ウイルス性腸炎 処置2なし 35 4.51 5.70 0.00% 4.06
080270xxxx1xxx 食物アレルギー 小児食物アレルギー負荷検査 32 1.06 2.09 0.00% 4.53
040090xxxxxxxx 急性気管支炎、急性細気管支炎、下気道感染症(その他) 30 4.57 5.89 0.00% 1.23
040070xxxxx0xx インフルエンザ、ウイルス性肺炎 処置2なし 29 4.90 5.56 0.00% 2.62
当院では年間500件近い出産があります。小児科は産婦人科と連携し、早産児や低出生体重児に限らず、少しでも異常のある新生児は未熟児室に入院頂き、十分な管理の下で必要な検査や治療をしています。入院中もご家族には未熟児室に何度でも入室して頂くことが可能で、児と積極的に接することが出来ます(現在はコロナウィルス流行のため入室回数を制限させていただいています)。
最近、食物アレルギーのある小児が増加しており、誤食によりアナフィラキシーを来した子どもも報道されています。一方で食物アレルギーがある児でも一生食事制限が必要なことは少なく、食事制限を長期間続けることは心身の発達にも望ましくありません。しかし、いつからどれだけの経口摂取ができるかは血液検査等からは判断が困難です。このため、十分にリスクに備えた上でごく少量ずつアレルゲンとなる食物を摂取して摂取可能か否かを判断する食物負荷試験が近年増加しており、当科でも積極的に行っています。
インフルエンザやウィルス性肺炎はもちろんのこと、急性気管支炎・細気管支炎の多くもウィルス性の感染です。特に細気管支炎の大半はRSウィルス感染により発症し、呼吸困難を来すことも多い疾患です。喘鳴(ゼイゼイ)や咳嗽から多呼吸、陥没呼吸等を来たし、放置すれば場合によっては死に至ることもあります。特に早産で出生した乳児や基礎疾患のある乳幼児はハイリスクと考えられています。特効薬はありませんが、急性期の呼吸状態によっては点滴補液や酸素投与などが必要になるなど十分な入院管理が必要です。その他のウィルス性肺炎等においても同様で、インフルエンザ以外の大半のウィルス疾患に特異的治療薬はないため、症状が改善するまで呼吸をはじめ、全身状態を維持することが治療の中心になります。
なおRSウィルスの流行時期は従来冬季でしたが、近年は夏季に大流行することもあります。ウィルス性腸炎は、ノロウィルス、ロタウィルスなどを代表とした様々なウィルスが消化器系に入ることで発症する感染症です。嘔吐や下痢が中心で、発熱や腹痛も伴うことが多いです。特に水分摂取ができない乳幼児は急激に脱水になるため注意しなければなりません。脱水となると点滴加療が必要となり、回復するまで入院が必要になることもあります。日頃から手洗いを心がけ周囲の流行状況に気をつけてください。腸炎症状があるときは、無理に固形物を摂取させることより、電解質や糖分を含む水分を少量頻回に摂取させてあげてください。摂取できず尿量が減ってくるなら早期にかかりつけ等小児科受診してください。ウィルス性腸炎は稀に腸重積という腸閉塞を来すことがあり、乳幼児で嘔吐反復や苺状の血便呈した場合は早期に鑑別が必要です。なお現在ロタウィルスに対しては内服のワクチンが定期接種となっており、症状を軽減させるのに有効と考えられています。
消化器・一般外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
060035xx010x0x 結腸(虫垂を含む)の悪性腫瘍 結腸切除術等 処置1なし 副傷病なし 58 15.21 15.40 5.17% 71.74
060020xx02xxxx 胃の悪性腫瘍 胃切除術等 58 15.72 18.05 5.17% 69.90
060330xx02xxxx 胆嚢疾患(胆嚢結石など) 胆嚢摘出術等 50 6.54 6.07 2.00% 61.48
060160x001xxxx 鼠径ヘルニア 15歳以上 鼠径ヘルニア手術等 49 5.47 4.59 2.04% 72.14
060050xx02xxxx 肝・肝内胆管の悪性腫瘍(続発性を含む) 腹腔鏡下肝切除術 部分切除 単回の切除によるもの等 28 13.18 14.50 3.57% 71.21
消化器・一般外科では、消化器悪性腫瘍(がん等)の手術を多数行っており、手術技術において高い評価を受けています。年々、ロボット支援下手術の数も増えています。進行した癌の診療では、消化器内科、腫瘍内科、放射線科などと連携して、個々の患者様に最適な治療を提供できるよう心がけています。良性疾患については、胆石、ヘルニアといった疾患に加えて、最近増えている炎症性腸疾患についても消化器内科と共に治療を行っています。DPCコード分類では同じ手術術式の多い疾患が拾い出されるため、上の表では良性疾患の症例数が多くなっています。悪性腫瘍はDPC分類では部位、術式などによって細分されるため、1つの群あたりの症例数は少なくなり上位5位に入りにくいですが、実際に当科では、悪性腫瘍の手術を中心に行っています。
呼吸器外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
040040xx97x00x 肺の悪性腫瘍 その他手術あり 処置2なし 副傷病なし 117 8.00 10.06 0.00% 69.31
040200xx99x00x 気胸 手術なし 処置2なし 副傷病なし 24 6.79 9.24 4.17% 45.00
040040xx99040x 肺の悪性腫瘍 手術なし 処置1なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副傷病なし 22 5.50 8.60 0.00% 68.45
040200xx01x00x 気胸 胸腔鏡下肺切除術等 処置2なし 副傷病なし 10 7.70 9.68 0.00% 45.80
040040xx99200x 肺の悪性腫瘍 手術なし 経気管肺生検法等 処置2なし 副傷病なし - - 3.05 - -
呼吸器外科領域において治療対象として最も多い疾患は肺癌です。新型コロナウイルス感染症の影響が遷延し、診断の遅れが危惧されていますが、呼吸器外科においては依然として肺癌が入院患者数、手術数の大部分を占めています。当院は県の中核施設として積極的に最新の肺癌治療手技を取り入れています。2003年には先進的に完全胸腔鏡下手術を導入し、2016年にはロボット支援下肺癌手術を、さらに2021年にはロボット支援下縦隔腫瘍手術や単孔式胸腔鏡手術を始めています。また、肺癌に対しては集学的治療がしばしば必要となりますが、当院では定位照射などの放射線治療に関しては放射線科医と、化学療法や分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬などの新規薬物治療については呼吸器内科医・腫瘍内科医と連携して診療に当たっています。
急に肺に穴が開いて、肺がしぼんでしまう疾患を「気胸」と呼びます。気胸の治療法にはドレナージ・気管支鏡下気管支充填術・胸膜癒着療法・胸腔鏡下手術などがあり、それぞれの病態に応じてそれらの治療を使い分けます。また、続発性気胸は肺気腫や間質性肺炎などの疾患を合併することが多く、呼吸器内科と協同して治療を行うことが必要とされます。気胸は緊急を要する疾患でもあるため、当院では呼吸器外科と呼吸器内科が協力して2020年より「気胸センター」を設立し、近隣の医療機関からの紹介に迅速に対応できる体制を整備しています。
乳腺・内分泌外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
090010xx010xxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術等 処置1なし 89 12.88 9.99 0.00% 60.65
090010xx02xxxx 乳房の悪性腫瘍 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わない) 62 8.45 5.67 0.00% 61.16
090010xx99x30x 乳房の悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副傷病なし 26 3.08 6.02 0.00% 53.00
090010xx99x40x 乳房の悪性腫瘍 手術なし シクロホスファミド+塩酸エピルビシンあり等 副傷病なし 19 3.00 3.66 0.00% 50.68
100020xx010xxx 甲状腺の悪性腫瘍 甲状腺悪性腫瘍手術等 処置1なし 14 9.50 8.06 0.00% 51.43
乳腺内分泌外科において、乳癌手術では、整容性の高い乳房温存手術を基本術式としています。腫瘍の大きい症例に対しては、術前化学療法を施行し、腫瘍を小さくしてから温存手術をおこなうこともあります。しかし残念ながら、病状により乳腺全摘術を選択せざるを得ない場合もあります。その場合は、術前より形成外科医と相談し、希望があれば乳房再建手術もおこなっています。再建方法としては、①人工乳房による再建②広背筋皮弁による再建③血管吻合をともなった腹部遊離皮弁による乳房再建④腹直筋皮弁による乳房再建をおこなえるようにしています。甲状腺手術では、進行甲状腺癌では拡大手術による根治術を目指し、早期の甲状腺癌や良性疾患に対しては低侵襲性手術を行っています。低侵襲性手術として、小切開法による甲状腺手術をおこなっています。
心臓血管外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
050080xx0101xx 弁膜症(連合弁膜症を含む) 弁置換術等 処置1なし 中心静脈注射等 40 18.05 21.78 5.00% 71.65
050163xx03x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 ステントグラフト内挿術等 処置2なし 34 8.94 10.62 0.00% 78.85
050163xx01x1xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術 腹部大動脈以外等 中心静脈注射等 13 23.69 28.13 7.69% 71.69
050161xx97x1xx 大動脈解離 その他手術あり 中心静脈注射等 10 28.70 28.45 40.00% 70.70
050163xx02x0xx 非破裂性大動脈瘤、腸骨動脈瘤 大動脈瘤切除術 腹部大動脈等 処置2なし 10 12.60 15.98 0.00% 71.90
弁膜症は社会の高齢化に伴い増加している疾患で、特に心臓の出口にある大動脈弁が狭くなる大動脈弁狭窄症が最も多くなっています。治療は外科的手術となります。心臓(左心室)の入り口にある僧帽弁は、きちんと閉じない閉鎖不全症が主で、自己弁を温存する弁形成術を中心に手術を行っており、また適応症例では右小切開手術を行っています。高齢化に伴い大動脈瘤の患者さんは増加しており、前年度は腹部大動脈瘤が最も多く、体に負担の少ないステントグラフト治療を主に行っています。動脈瘤の形態や患者さんの状態に応じて開腹術を行う場合もありますが、頻度は少なくなっています。急性大動脈解離では、心臓に近い上行大動脈に解離が及んでいるStanford A型の場合は破裂の危険が高いためほとんどが緊急手術を必要とし、上行大動脈に解離が及んでいないB型の場合は通常手術を行わず薬物で治療しています。
脳神経外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
010060x2990201 脳梗塞 3日以内かつJCS10未満 手術なし 処置1なし 脳血管疾患等リハ等 副傷病なし RankinScale0~2等 44 13.57 16.01 54.55% 69.77
010040x099000x 非外傷性頭蓋内血腫(非外傷性硬膜下血腫以外) JCS10未満 手術なし 処置1なし 処置2なし 副傷病なし 43 16.77 19.58 62.79% 66.40
160100xx97x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 その他手術あり 処置2なし 副傷病なし 35 9.80 10.14 25.71% 75.20
160100xx99x00x 頭蓋・頭蓋内損傷 手術なし 処置2なし 副傷病なし 27 9.04 8.54 33.33% 68.37
010230xx99x00x てんかん 手術なし 処置2なし 副傷病なし 26 6.35 7.33 19.23% 74.12
脳神経外科で入院加療を行った患者さんで1番多い疾患は、脳梗塞の急性期の患者さんです。ほとんどの患者さんが発症から24時間以内の急性期に救急入院されています。急性期には、血流を再開させるためにアルテプラーゼ(t-PA)の静脈投与や血管内手術による血栓回収療法などを行っています。入院期間は約2週間で過半数の患者さんが回復して自宅へ退院されますが、半数以上の患者さんは、さらなる機能回復を目指してリハビリテーションの継続のために転院されています。
2番目に多い疾患は、脳出血の患者さんです。脳出血は高血圧が原因であることが多く、生活習慣の変化や高血圧への認識の高まりから近年減少傾向でしたが、コロナ禍で病院へ行かず、血圧を放置されていた患者さんが多かったことが令和4年の特徴でした。半数以上の患者が自宅退院できない病気であり、引き続きこの病気に対する啓蒙を行っていこうと思っています。
3番目に多い疾患は、外傷性の慢性硬膜下血腫で穿頭洗浄術を行った患者さんです。高齢者に多く、近年、増加傾向にあります。
4番目に多い疾患も外傷により脳内に損傷があった患者さんで、高齢者では軽度の脳損傷でも認知機能の低下が認められることが多く、ご自宅へ帰れず在宅復帰に向けたリハビリテーションが必要となる方がいらっしゃいます。
5番目に多い疾患は、てんかん発作等で緊急入院となる救急疾患です。脳卒中や脳腫瘍、頭部外傷後に発生する症候性てんかんが多く、投薬により回復します。
整形外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
160800xx01xxxx 股関節・大腿近位の骨折 人工関節置換術等 123 22.91 26.42 80.49% 82.07
070341xx020xxx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む) 頸部 椎弓切除術、椎弓形成術等 処置1なし 51 17.06 19.52 45.10% 64.47
070343xx97x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む) 腰部骨盤、不安定椎 その他手術あり 処置2なし 44 15.36 15.60 20.45% 70.18
070343xx01x0xx 脊柱管狭窄(脊椎症を含む) 腰部骨盤、不安定椎 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術等 処置2なし 43 16.93 20.05 39.53% 66.65
070230xx01xxxx 膝関節症(変形性を含む) 人工関節置換術等 34 20.88 22.44 26.47% 77.00
令和4年度の整形外科手術件数は1532件でした。昨年度に比べやや増加しています。その中でも昨年度に引き続き股関節の骨折に対する骨接合術や人工骨頭置換術が最多でした。第2位第3位第4位は脊椎の手術で増加傾向にあります。第5位は変形性膝関節症に対する人工関節置換術でした。
形成外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
070520xx97xxxx リンパ節、リンパ管の疾患 手術あり 18 7.83 8.32 0.00% 56.44
070010xx970xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く) その他手術あり 処置1なし - - 4.50 - -
090010xx05xxxx 乳房の悪性腫瘍 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術 - - 7.71 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 処置1なし - - 13.50 - -
070010xx971xxx 骨軟部の良性腫瘍(脊椎脊髄を除く) その他手術あり 骨移植術等 - - 9.88 - -
形成外科では、顔や手足など身体の表面にできた傷や変形をきれいに治すことを主な目的としています。けが、顔の骨折、やけど、できもの、あざ、先天異常、治りにくい傷、がんの切除・再建および乳房再建などについて治療をおこなう外科系の専門領域です。入院治療を行う疾患としては、リンパ浮腫、骨軟部の良性腫瘍、乳房の悪性腫瘍、蜂窩織炎(膿皮症)が上位を占めています。
リンパ浮腫とは、様々な原因によってリンパ液の流れが滞ることで起こる四肢の浮腫です。原因としては、日本では悪性腫瘍に対する手術や放射線治療、あるいは外傷や感染による二次性(続発性)のものが圧倒的に多くなっています。早期に予防することで進行を遅らせることが可能です。軽症例では弾性包帯やストッキング、マッサージなどの保存的治療が有効です。進行例では保存的治療に加えて外科的治療が有効です。当院では保存的治療は専門のリンパ浮腫療法士や理学療法士が行っております。
軟部腫瘍とは、皮膚の下の軟部組織に出来たできもののことです。
乳房再建とは、乳がんの治療によって失われた乳房の形態を復元することを言います。当院では乳腺外科からの依頼で形成外科が乳房再建を行っています。
蜂窩織炎(膿皮症)とは、免疫力が低下している場合に皮膚の傷などから細菌が侵入し、皮膚とその下にある脂肪組織などに炎症を引き起こす病気です。形成外科では難治性皮膚潰瘍やリンパ浮腫からの蜂窩織炎での入院が大部分を占めています。
皮膚科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
080020xxxxxxxx 帯状疱疹 - - 9.25 - -
080010xxxx0xxx 膿皮症 処置1なし - - 13.50 - -
080110xxxxx0xx 水疱症 処置2なし - - 28.56 - -
080006xx01x0xx 皮膚の悪性腫瘍(黒色腫以外) 皮膚悪性腫瘍切除術等 処置2なし - - 7.29 - -
161070xxxxx00x 薬物中毒(その他の中毒) 処置2なし 副傷病なし - - 3.61 - -
帯状疱疹は水痘帯状疱疹ウイルスによる感染症で、通常は内服治療を行いますが、免疫力の低い方やご高齢の方、衰弱の強い方などでは入院して点滴治療を行います。蜂窩織炎は細菌による感染症で、特に下肢に生じた場合には入院して抗生剤の点滴で治療することが一般的です。類天疱瘡、天疱瘡などの水疱症では、副腎皮質ホルモン内服・傷の手当てなどのために入院して治療を行い、反応が悪い場合にはグロブリン製剤の点滴や血漿交換が必要となる場合があります。
泌尿器科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
110080xx991xxx 前立腺の悪性腫瘍 手術なし 前立腺針生検法 124 2.00 2.45 0.00% 71.05
110420xx02xxxx 水腎症等 経尿道的尿管ステント留置術等 123 2.04 4.11 4.07% 68.33
110070xx03x0xx 膀胱腫瘍 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用等 処置2なし 82 5.41 6.85 0.00% 74.83
11012xxx02xx0x 上部尿路疾患 経尿道的尿路結石除去術等 副傷病なし 47 5.30 5.29 2.13% 63.13
110080xx01xxxx 前立腺の悪性腫瘍 前立腺悪性腫瘍手術等 42 11.98 11.30 0.00% 69.76
泌尿器科疾患における治療は、尿路性器癌(腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌)に対するものが最も多くなっています。その内訳として、腎癌に対しては、腎温存のできない大きな癌に対しては、鏡視下腎摘除術を行っています。転移を有する進行癌に対しては、薬物療法や免疫療法を主体に治療を行っています。腎盂尿管癌に対しては、早期の場合、鏡視下での手術療法を行い、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。膀胱癌に対しては、早期の場合、内視鏡手術を中心に治療を行い、転移のない進行癌に対しては膀胱全摘(ロボット支援手術)を、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。前立腺癌に対しては、早期の場合ロボット支援手術を行い、転移・進行癌に対しては内分泌、放射線、全身抗癌剤治療などを行っています。悪性腫瘍以外の疾患では、腎尿管結石に対しては、結石の大きさや状態に応じて、体外衝撃波結石破砕術や細径内視鏡下のレーザーを用いた砕石術を行っています。また、婦人科疾患や消化器疾患に伴う尿管狭窄に対して尿管ステント留置による尿路確保を積極的に行っています。
産科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
120260x001xxxx 分娩の異常 帝王切開術等 出血量2000mL未満 35 8.89 9.37 0.00% 31.54
120180xx01xxxx 胎児及び胎児付属物の異常 帝王切開術等 25 9.44 9.38 0.00% 31.20
120170x199xxxx 早産、切迫早産 34週未満 手術なし 16 27.00 20.78 18.75% 30.94
120165xx99xxxx 妊娠合併症等 手術なし 12 10.00 10.62 0.00% 33.33
120140xxxxxxxx 流産 - - 2.45 - -
妊娠・出産はほとんどの場合が順調に経過しますが、母体や胎児、あるいは両方に突然問題が起こることがあります。妊娠初期にはさまざまな理由で10~15%が流産になるとされています。主な原因は胎児側の要因で自然淘汰と考えられます。お腹の痛みと生理よりも多い出血があって、多くは自然流産となりますが、子宮内にとどまることがあります(稽留流産)。その場合は流産手術が必要になることがあります。お腹の強い張りや痛み、子宮の出口(頚管)が短かくなったり緩む・開くなど、放置していれば流産・早産となる可能性の高い状態を切迫流産・切迫早産と言い、自宅安静や張り止め薬を飲んでも症状の改善が認められない場合は、入院となり、さらなる安静と張り止め薬の点滴をして、流早産を防ぎます。母体の持病の悪化や妊娠に伴う合併症(妊娠高血圧症候群や妊娠性糖尿病など)が認められることもあります。小児科やその他の科と連携して周産期管理を行いますが、母体・胎児の状態や週数、また生まれた新生児の状態により、周産期センターのある、より高次施設へ母体搬送や新生児搬送をすることがあります。骨盤位や多胎妊娠、既往帝王切開後、胎盤の位置異常などは、帝王切開を行っています。妊娠経過が順調で、経腟分娩を行っていても、分娩が進行しなかったり、胎児にストレスが認められた場合は緊急で吸引分娩や帝王切開となる場合があります。帝王切開率は約25~30%となっています。お母さんにとって安心してお産ができ、元気な赤ちゃんを迎えていただけるよう、お手伝いしていきます。
婦人科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
12002xxx99x40x 子宮頸・体部の悪性腫瘍 手術なし 化学療法ありかつ放射線療法なし 副傷病なし 77 3.00 4.27 0.00% 65.79
12002xxx01x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 処置2なし 71 8.41 10.48 0.00% 57.04
120070xx02xxxx 卵巣の良性腫瘍 子宮附属器腫瘍摘出術等 49 6.06 6.04 0.00% 45.16
12002xxx02x0xx 子宮頸・体部の悪性腫瘍 子宮頸部(腟部)切除術等 処置2なし 49 3.00 3.02 0.00% 36.47
120060xx02xxxx 子宮の良性腫瘍 腹腔鏡下腟式子宮全摘術等 48 5.73 5.98 0.00% 44.29
子宮頚部の悪性腫瘍(いわゆる子宮頚がん)は、婦人科悪性腫瘍の中では最も多いがんで、ヒトパピローマウィルス(HPV)が発癌に関与します。人間ドックや一般検診で、前癌病変(異形成)の段階で早期発見できた場合、挙児希望のある方には子宮頚部切除術を行うことで、妊娠の可能性を残すことが出来ます。進行子宮頸がんに対する初回治療法として、①手術療法②同時放射線化学療法③薬物療法(抗癌剤や分子標的薬など)があります。診察所見や画像診断を参考に、進行期と治療法を決定します。子宮体部の悪性腫瘍(いわゆる子宮体がん)は、発生頻度が年々増しています。手術療法が治療の基本となります。術前診断で再発低リスク相当に該当する場合は腹腔鏡下手術の適応がありますが、それ以外は開腹手術を要します。術後の病理診断による再発リスク評価を参考に、術後薬物療法(抗癌剤治療)を行います。子宮付属器悪性腫瘍(いわゆる卵巣がん・卵管がん)の初回治療は、手術療法と化学療法です。卵巣がんはほとんどの場合、術後あるいは術前後に薬物療法が必要になります。卵巣の良性疾患である卵巣嚢腫は、薬物治療の効果が期待できないものや、ある程度以上大きなもので捻転リスクがあったり圧迫症状があったりする場合、手術療法を行います。子宮の良性疾患として代表的な子宮筋腫と子宮腺筋症は、症状に応じて手術療法を行います。いずれの良性疾患も、手術を受ける方の負担を少しでも軽減するため、可能な限り腹腔鏡手術を行っています。子宮筋腫でも一定以上の大きさに増大してしまった場合は、開腹による子宮全摘出術が必要です。
眼科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
020110xx97xxx1 白内障、水晶体の疾患 手術あり 両眼 45 2.00 4.67 0.00% 73.31
020110xx97xxx0 白内障、水晶体の疾患 手術あり 片眼 25 2.00 2.63 0.00% 76.52
020400xx99xxxx 眼、付属器の障害 手術なし - - 12.82 - -
020130xxxxxxxx 後部・汎ぶどう膜炎 - - 14.19 - -
020370xx99x0xx 視神経の疾患 手術なし 処置2なし - - 10.05 - -
眼科では手術目的の入院がほとんどです。最も多いのは白内障手術です。手術以外の入院としては視神経炎、ぶどう膜炎などに対する投薬加療での入院です。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
DPCコード DPC名称 患者数 平均
在院日数
(自院)
平均
在院日数
(全国)
転院率 平均年齢 患者用パス
030230xxxxxxxx 扁桃、アデノイドの慢性疾患 46 9.46 7.73 0.00% 24.65
030150xx97xxxx 耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍 手術あり 37 7.65 6.81 0.00% 56.00
030350xxxxxxxx 慢性副鼻腔炎 30 7.13 6.23 0.00% 60.57
030250xx991xxx 睡眠時無呼吸 手術なし 終夜睡眠ポリグラフィー(1及び2以外) 23 2.00 2.03 0.00% 71.26
030390xx99xxxx 顔面神経障害 手術なし 11 10.45 8.81 0.00% 54.00
耳鼻咽喉科・頭頸部外科で、1番目に多い扁桃・アデノイドの慢性疾患は習慣性扁桃炎やIgA腎症、睡眠時無呼吸症候群の方に対して、症状改善目的で扁桃摘出やアデノイド切除を施行します。2番目に多い耳・鼻・口腔・咽頭・大唾液腺の腫瘍は、腫瘍に対して手術加療を施行しております。3番目に多い慢性副鼻腔炎は、投薬でのコントロールが困難な方に対して、症状改善目的で鼻の手術をします。4番目に多い睡眠時無呼吸は、睡眠時無呼吸症候群の方の原因、重症度を判断するため1泊2日で検査を施行しております。5番目に多い顔面神経障害は、顔面神経麻痺の方に対してステロイドの漸減投与を施行しております。
初発の5大癌のUICC病期分類別並びに再発患者数ファイルをダウンロード
初発 再発 病期分類
基準(※)
版数
Stage I Stage II Stage III Stage IV 不明
胃癌 182 33 26 18 10 26 1 8
大腸癌 67 37 53 21 35 34 1 8
乳癌 75 93 23 - - 26 1 8
肺癌 94 28 61 50 35 168 1 8
肝癌 32 20 - - 13 154 1 8
※ 1:UICC TNM分類,2:癌取扱い規約
【指標の説明】
5大がんと呼ばれる胃がん、大腸がん、乳がん、肺がん、肝がんで入院された患者数を、初発のUICC病期分類に基づくステージで集計しています。対象期間中に同一患者さんが複数回入院された場合も、1例としてカウントしています。
UICC病期分類とは、国際対がん連合(Union for International Cancer Control, UICC)によって定められた、がんの大きさや進展度(T)、リンパ節転移(N)、遠隔転移の有無(M)の3つの要素によって、0期~Ⅳ期に分類したもので、0期のものは集計対象外としています。数字が大きいほど「進行しているがん」といえます。
入院中に検査結果が判明せず病期分類ができなかった場合は、「不明」に分類しています。
患者数が10未満の場合は、患者さんが特定される可能性があるため「-(ハイフン)」で表示しています。

【解説】
令和4年度、悪性腫瘍で入院した患者さんは約3,500人で、このうち約4割を占めているのが5大がんです。早期がんから進行がんまで、幅広い病期を診療していることが分かります。
胃がんはⅠ期の患者さんが多く、内視鏡的治療が多く行われています。
大腸がんはⅠ~Ⅲ期と幅広い病期に対して、腹腔鏡による手術が行われています。この表にはありませんが、大腸がんの最も早期の病期である0期では、内視鏡的治療が多く行われています。
乳がんはⅠ~Ⅱ期の患者さんが多く、乳房温存手術に化学療法や放射線療法を組み合わせた治療が多く行われています。乳がんの再発は、手術後2~3年もしくは5年前後くらいに起こることが多いのですが、10年後や20年後に現れることもあり、長期にわたる経過観察が必要です。
肺がんはⅠ期が多い一方で、「再発」やStageⅣの患者さんも多くなっています。Ⅰ期の場合は胸腔鏡による手術が多く行われています。再発や進行がんでは、化学療法のために入退院を繰り返すことが多くなります。
肝がんは「再発」が多く、肝動脈化学塞栓術、ラジオ波焼灼療法などの内科的治療が、繰り返し行われます。
成人市中肺炎の重症度別患者数等ファイルをダウンロード
患者数 平均
在院日数
平均年齢
軽症 - - -
中等症 31 13.71 77.48
重症 15 15.93 77.80
超重症 10 11.30 79.00
不明 - - -
成人市中肺炎の重症度別で患者数が最も多いのは、中等症の患者さんとなっております。
重症度が高くなると、平均年齢が高くなっています。
脳梗塞の患者数等ファイルをダウンロード
発症日から 患者数 平均在院日数 平均年齢 転院率
3日以内 179 16.35 74.47 45.45%
その他 30 14.73 74.37 4.31%
大多数の患者は、突然の神経症状すなわち脳卒中を発症し、発症3日以内の急性期に救急入院しています。約半月の急性期入院ののち、半分の患者がリハビリのために転院しています。それ以後の入院は、慢性虚血に対して脳外科的治療を要するために他院から紹介になった患者さんです。
平均年齢は74歳であり、高齢になると動脈硬化や不整脈の患者さんが増加し、脳梗塞となるリスクが高くなります。早期発見により、超急性期治療を行うことで自宅退院可能となる患者さんの数も増えています。引き続き脳梗塞に対する啓蒙が必要です。
診療科別主要手術別患者数等(診療科別患者数上位5位まで)ファイルをダウンロード
総合診療科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0061 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm未満) - - - - -
K647 胃縫合術(大網充填術又は被覆術を含む。) - - - - -
K5223 食道狭窄拡張術 拡張用バルーンによるもの - - - - -
K6262 リンパ節摘出術 長径3センチメートル以上 - - - - -
総合診療科では、原則的に手術を入院中にする患者さんは少なく、不明熱精査のためのリンパ節生検、皮膚生検や腫瘍生検等であった。また、他科での手術後に発生した不明熱精査のために総合診療科に転科となったケースもあった。
消化器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K7211 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm未満) 157 1.26 1.76 0.64% 70.61
K6532 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(早期悪性腫瘍胃粘膜)等 138 1.52 5.81 0.00% 75.45
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 80 1.23 6.08 1.25% 73.89
K7212 内視鏡的大腸ポリープ・粘膜切除術(長径2cm以上) 78 1.40 5.50 2.56% 68.19
K6535 内視鏡的胃、十二指腸ポリープ・粘膜切除術(その他) 74 1.26 3.74 0.00% 72.57
消化器内科では、胃あるいは大腸腫瘍に対する内視鏡的ポリープ・粘膜切除術あるいは粘膜下層剥離術を多く行なっております。外来での日帰り手術も多いですが、血をさらさらにする薬を飲んでおられる患者さんも多くなり、切除時の出血の危険が高い患者さんは入院で加療しています。県内の広い範囲から受診されるため、入院当日では治療が出来にくく、前日入院で対応しています。全体として難しい治療が多いのは事実ですが、術後の入院日数の短縮に取り組んでいます。胆管の結石や感染症は重症化する場合も多く、広いエリアから緊急内視鏡処置を受け入れているため、治療手技としての内視鏡的乳頭切開術・乳頭括約筋切開や内視鏡的胆道ステント留置術が多くなっています。
肝臓内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6152 血管塞栓術(頭部、胸腔、腹腔内血管等)(選択的動脈化学塞栓術) 105 1.30 9.27 0.95% 74.61
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 47 0.49 2.66 0.00% 52.28
K697-31ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cm以内)(その他) 等 21 1.10 5.57 0.00% 75.10
K697-32ロ 肝悪性腫瘍ラジオ波焼灼療法(2cmを超える)(その他) 等 12 1.08 7.00 0.00% 71.08
K533-2 内視鏡的食道・胃静脈瘤結紮術 等 10 5.00 14.70 10.00% 60.50
肝臓内科の入院患者さんで一番多い疾患は肝細胞癌です。肝細胞癌の治療は肝臓予備能(アルブミン値、黄疸値、凝固蛋白値、腹水の程度、脳症の程度から判定します)と肝細胞癌の状態(ステージ、癌の個数と大きさ)から治療方針を決めます。外科切除の適応がない場合には内科的治療として肝動脈化学塞栓術(TACE)、経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)などの局所治療を行いますが、このような局所療法で根治が期待できない場合には分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤などの薬物治療を行っています。造影剤CTやMRIで濃染する 多血性の肝細胞癌であれば、肝動脈化学塞栓術(TACE)を実施し、その後に経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)を行うことが多いです。RFAの適応は肝癌治療ガイドライン(癌の大きさと個数が3㎝3個以内)を原則としていますが、3㎝を超える大きめの肝癌に対して焼灼を行う場合は1回の穿刺で完全に焼灼することは困難であり、RFAより大きな焼灼範囲が得られるマイクロ波を用いて焼灼しています。当院では患者さんの利便性も考えて、これまでは1入院で2つの手技(TACEとRFA)を実施してきたため、肝細胞癌に対する入院期間は全国の平均在院日数より若干長くなっていました。最近では当院においても65歳以上の患者さんには、TACEとRFAを別々の入院で行い治療による全身と肝臓のダメ-ジが軽減する様にしています。
肝硬変の合併症の一つである肝硬変に伴う胸腹水に対して胸水と腹水を穿刺排液するのみではなく、清潔なバッグに回収し濾過と濃縮を実施し、回収した胸・腹水中のアルブミンを点滴静注する胸水・腹水濾過再靜注法(ART)も数日間の入院で行っています。食道・胃静脈瘤の破裂で受診された場合は消化器内科にて内視鏡的に緊急止血処置を行い、その後、当科で肝不全の治療を行い、肝予備能と全身状態が回復した患者さんには硬化療法などで再出血の危険が軽減するように治療しています。肝細胞癌が胆管に浸潤した場合には胆管が閉塞し黄疸が出ることがあります。この場合は消化器内科において内視鏡的に胆道ステント留置術を実施し、内視鏡的に治療が困難な場合は肝臓内科で超音波で観察しながら経皮経肝的に胆管ステント留置を行っています。
呼吸器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K496-5 経皮的膿胸ドレナージ術 - - - - -
K0461 骨折観血的手術(上腕) 等 - - - - -
K386 気管切開術 - - - - -
K5091 気管支異物除去術(直達鏡) 等 - - - - -
K508-22 気管・気管支ステント留置術(軟性鏡) - - - - -
呼吸器内科では、膿胸に対し、抗生剤治療で十分な効果が得られない場合に経皮的ドレナージ術を行う場合があります。肺癌骨転移による骨折に対し、整形外科で手術を行うことがあります。呼吸不全による人工呼吸管理が長期となる場合、気管切開を行うことがあります。気管支異物に対し、気管支鏡的異物除去術を行うことがあります。腫瘍などにより気管・気管支の狭窄を認める場合、気管・気管支ステント留置術を行う場合があります。
血液内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) 等 13 17.62 16.00 7.69% 76.85
K9222ロ 造血幹細胞移植(末梢血幹細胞移植)(自家移植) - - - - -
K9212ロ 造血幹細胞採取(末梢血幹細胞採取)(自家移植) - - - - -
K154-3 定位脳腫瘍生検術 - - - - -
K6261 リンパ節摘出術(長径3cm未満) - - - - -
血液内科での手術は、自己末梢血幹細胞移植が中心となります。治療のために埋込型カテーテルを留置する頻度も高くなっています。また、他院から紹介で、診断目的での脳腫瘍生検およびリンパ節摘出術を行う事があります。
腎臓・膠原病内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6121イ 末梢動静脈瘻造設術(内シャント造設術)(単純) 29 10.34 14.93 6.90% 70.90
K6147 血管移植術、バイパス移植術(その他の動脈) 10 11.50 12.40 10.00% 69.90
K654 内視鏡的消化管止血術 - - - - -
K616-41 経皮的シャント拡張術・血栓除去術(初回) - - - - -
K635-3 連続携行式腹膜灌流用カテーテル腹腔内留置術 - - - - -
腎臓・膠原病内科では、他科と連携して手術・処置を行っています。血液透析を導入するためのシャント手術は心臓血管外科と連携しています。また、腹膜透析導入には消化器外科と連携し、腹膜透析カテーテルを挿入しています。シャント狭窄や閉塞に対しては循環器内科や心臓血管外科で血管拡張術や血栓除去術を施行していただいています。その他腎臓病患者さんの合併症(冠動脈疾患や悪性腫瘍など)の精査を行っています。
循環器内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5951 経皮的カテーテル心筋焼灼術 心房中隔穿刺又は心外膜アプローチを伴うもの 等 408 1.75 2.40 0.25% 68.36
K5493 経皮的冠動脈ステント留置術 その他のもの 等 134 2.16 2.96 0.75% 71.78
K5492 経皮的冠動脈ステント留置術 不安定狭心症に対するもの 等 66 0.02 9.53 9.09% 74.00
K5461 経皮的冠動脈形成術 急性心筋梗塞に対するもの 等 65 0.03 13.88 4.62% 68.23
K616 四肢の血管拡張術・血栓除去術 等 58 1.17 3.07 0.00% 70.72
循環器内科では、頻拍性不整脈に対するカテーテル心筋焼灼術を行っており、特に心房細動に対するカテーテル治療が増加しています。
心房中隔穿刺を行うもの(主に心房細動)とそれ以外でコードが分かれていますが合わせると470例を超えています。虚血性心疾患(心筋梗塞や狭心症など)に対する経皮的冠動脈ステント留置術や経皮的冠動脈形成術といった心臓カテーテル治療も症例数が多くなっています。心臓カテーテル治療とは、腕や足の血管から心臓まで管を通して動脈硬化で狭くなった心臓の血管(冠動脈)を治療する方法です。使用する器材によりコードが異なり、また複数回行うこともあり、合わせると400例を超えています。また冠動脈動脈硬化の重症化により石灰化が進んだ症例が多く、石灰化を削り取るカテーテルを使った治療も中四国では最も症例が多い施設の一つになっています。急性心筋梗塞に対する緊急対応も24時間行っており、多くの症例の治療を行っています。下肢動脈の動脈硬化による虚血に対してもカテーテル治療を実施しています。
脳神経内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K386 気管切開術 - - - - -
K189 脊髄ドレナージ術 - - - - -
K1422 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方又は後側方固定) - - - - -
K664 胃瘻造設術(経皮的内視鏡下胃瘻造設術、腹腔鏡下胃瘻造設術を含む) - - - - -
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) - - - - -
脳神経内科は、脳・神経・筋疾患の内科的治療を担当する診療科ですので、手術治療は基本的に行いません。脳神経内科入院中の患者さんに対して行う手術としては、神経疾患により自力で呼吸ができなくなったり、自力で痰を喀出することができなくなった患者さんに対して、気管切開術を行う場合があります。また、神経疾患により食事を経口摂取することができなくなった患者さんの栄養管理のために、胃瘻造設術や中心静脈カテーテル留置の手術を行うケースがあります。神経筋疾患の診断目的で脳神経内科が行う手術としては、筋生検・神経生検があります。水頭症に対するドレナージ術や脳生検は脳神経外科に依頼して行います。脊椎疾患が原因となる神経障害を診断した場合は脊椎手術を整形外科に依頼します。
緩和ケア内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6182 中心静脈注射用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K651 内視鏡的胃、十二指腸ステント留置術 - - - - -
K6113 抗悪性腫瘍剤静脈内持続注入用植込型カテーテル設置(頭頸部その他) - - - - -
K635 胸水・腹水濾過濃縮再静注法 - - - - -
K688 内視鏡的胆道ステント留置術 - - - - -
緩和ケア内科では、専門的な症状緩和治療を行っています。中でも痛みについては、ペインクリニック専門医でもある緩和ケア内科医師が、一般的な方法では取れない痛みの治療も行っています。その一つが、脊髄の近くにカテーテルを留置して痛み止めの薬剤を持続的に注入する持続くも膜下あるいは硬膜外ブロックで、麻薬系を含む鎮痛薬の全身投与では取れない激痛を緩和しています。薬を入れる入り口となるポートを皮下に埋め込むことで確実に投与でき、自宅でも同様の治療が続行できるようになります。
そのほか中心静脈ポートの留置で必要な点滴をより確実にできるようにしたり、胆道、尿管へのステント留置など比較的苦痛が少ない方法で肝臓や腎臓の機能の改善を図ったり、消化管の狭窄の患者に食事の再開を期待してステントを留置したり、KARTと言って腹水を抜いて濾過し、他成分を再度点滴する方法をしてもらったり、など状況に応じて苦痛の緩和のために必要と考えられる処置を各専門科に依頼して施行してもらっています。
腫瘍内科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K6232 静脈形成術、吻合術(腹腔内静脈) - - - - -
腫瘍内科で行う手術はほとんどなく、他診療科に症状緩和目的で依頼することが多いです。
小児科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K9131 新生児仮死蘇生術 仮死第1度のもの - - - - -
K9132 新生児仮死蘇生術 仮死第2度のもの - - - - -
当院では500例近い分娩出産があります。小児科は産婦人科と連携し、児にリスクのある分娩(緊急帝王切開含)には小児科医が立ち会い、出生後呼吸が十分出来ない新生児仮死などでは必要な心肺蘇生を出生直後から行っています。この蘇生処置等が小児科の手術例として扱われています。
消化器・一般外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K672-2 腹腔鏡下胆嚢摘出術 75 1.31 4.95 2.67% 64.27
K719-3 腹腔鏡下結腸悪性腫瘍切除術 64 4.05 11.48 3.13% 71.42
K6335 ヘルニア手術 鼠径ヘルニア 等 26 1.19 3.08 0.00% 74.77
K655-23 腹腔鏡下胃切除術 悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 等 26 1.73 11.04 0.00% 69.04
K718-21 腹腔鏡下虫垂切除術 虫垂周囲膿瘍を伴わないもの 等 25 0.48 4.96 0.00% 47.76
消化器・一般外科では、消化器悪性腫瘍(がん等)の手術を多数行っており、手術技術においても高い評価を受けています。Kコードによる分類では、部位や術式によって細分されるため、全体像はわかりにくくなっています。ちなみに2022年の手術症例数は、大腸悪性腫瘍142例(結腸90例/直腸52例)、胃悪性腫瘍93例、食道悪性腫瘍9例、肝臓胆道腫瘍49例、膵臓腫瘍26例でした。大腸癌、胃癌、食道癌手術の大部分は鏡視下手術(腹腔鏡または胸腔鏡)で行っており、胃癌と直腸癌ではロボット手術も導入しています。良性疾患の手術は、胆石手術104例、ヘルニア手術75例、虫垂炎手術38例、大腸良性疾患手術43例などとなっています。香川県内で最多の消化器外科手術を行っている病院として、今後も更に手術と診療の質を向上していきたいと考えております。
呼吸器外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K514-23 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 肺葉切除又は1肺葉を超えるもの 等 67 1.54 6.88 0.00% 71.36
K514-21 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 部分切除 35 1.40 3.60 0.00% 68.14
K514-22 胸腔鏡下肺悪性腫瘍手術 区域切除 16 1.25 6.13 0.00% 70.75
K5131 胸腔鏡下肺切除術 肺嚢胞手術(楔状部分切除によるもの) 13 3.69 3.69 0.00% 50.00
K496-2 胸腔鏡下醸膿胸膜又は胸膜胼胝切除術 等 - - - - -
呼吸器外科領域において治療対象として最も多い疾患は肺癌です。新型コロナウイルス蔓延の影響が遷延し、診断の遅れが危惧されていますが、呼吸器外科においては依然として肺癌が入院患者数、手術数の大部分を占めています。当院は県の中核施設として積極的に最新の肺癌治療手技を取り入れています。2003年には先進的に完全胸腔鏡下手術を導入し、2016年にはロボット支援下肺癌手術を、さらに2021年にはロボット支援下縦隔腫瘍手術や単孔式胸腔鏡手術を始めています。また、肺癌に対しては集学的(複数診療科が協力して)治療がしばしば必要となりますが、当院では定位照射などの放射線治療に関しては放射線科医と、化学療法や分子標的薬・免疫チェックポイント阻害薬などの新規薬物治療については呼吸器内科医・腫瘍内科医と連携して診療に当たっています。
肺癌の手術においては、標準術式である肺葉切除術を最も多く行っていますが、早期肺癌に対しては区域切除や部分切除などの縮小手術を積極的に行っています。肺気腫などの慢性肺疾患により呼吸機能が低下している患者さんでは禁煙外来、呼吸リハビリテーション外来などを活用して呼吸機能の改善を図り、外科的手術の可能性を追求しています。
若年者に発生する原発性自然気胸では胸腔鏡下嚢胞切除を基本として吸収性補強剤による被覆を行っています。続発性自然気胸に対しても、積極的に胸腔鏡下手術を行っています。時に治療に難渋しますが、手術に加えて気管支鏡下塞栓術や胸膜癒着術などの治療を組み合わせて治癒を目指しています。
肺炎に併発する急性膿胸に対する手術は、当院では年々増加しています。呼吸器内科との緊密な連携により早期に外科が治療に介入できるようになり、手術適応のある 症例に対してはほぼすべて胸腔鏡手術を行い、良好な結果を得ています。さらに、結核病棟を有する医療機関として、慢性結核性膿胸に対しても胸膜胼胝切除術などの外科的手術を行っています。
乳腺・内分泌外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K4762 乳腺悪性腫瘍手術 乳房部分切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 62 1.68 5.82 0.00% 61.40
K4763 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩部郭清を伴わないもの) 62 1.95 8.82 0.00% 62.45
K4765 乳腺悪性腫瘍手術 乳房切除術(腋窩鎖骨下部郭清を伴うもの)・胸筋切除を併施しないもの 19 2.58 12.84 0.00% 57.74
K4611 甲状腺部分切除術、甲状腺腫摘出術 片葉のみの場合 12 3.00 5.83 0.00% 59.67
K4631 甲状腺悪性腫瘍手術 切除(頸部外側区域郭清を伴わないもの) - - - - -
乳癌手術では、整容性の高い乳房温存手術を基本術式としています。腫瘍の大きい症例に対しては、術前化学療法を施行し、腫瘍を小さくしてから温存手術をおこなうこともあります。しかし残念ながら、病状により乳腺全摘術を選択せざるを得ない場合もあります。その場合は、術前より形成外科医と相談し、希望があれば乳房再建手術もおこなっています。再建方法としては、①人工乳房による再建②広背筋皮弁による再建③血管吻合をともなった腹部遊離皮弁による乳房再建④腹直筋皮弁による乳房再建をおこなえるようにしています。甲状腺手術では、進行甲状腺癌では拡大手術による根治術を目指し、早期の甲状腺癌や良性疾患に対しては低侵襲性手術を行っています。低侵襲性手術として、小切開法による甲状腺手術をおこなっています。
心臓血管外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K5612ロ ステントグラフト内挿術(腹部大動脈) 等 34 1.44 8.88 2.94% 78.74
K5551 弁置換術(1弁) 等 14 3.86 16.14 7.14% 71.86
K5522 冠動脈、大動脈バイパス移植術(2吻合以上) 等 13 2.62 18.08 0.00% 71.15
K5606 大動脈瘤切除術(腹部大動脈(分枝血管の再建)) 等 11 5.73 14.00 9.09% 73.64
K552-22 冠動脈、大動脈バイパス移植術(人工心肺不使用)(2吻合以上) 等 11 1.36 14.73 9.09% 73.18
心臓血管外科において、腹部大動脈瘤については、開腹人工血管置換術とステント-グラフト内挿術のどちらかを患者さんごとに評価して最適な方法を選択して行っています。特に腹部大動脈瘤ではステントグラフトが増加しており、また最近ではほとんどの症例は切開せず、両鼠径部の穿刺により治療を行っており、入院日数が短縮しています。弁膜症は社会の高齢化に伴い増加している疾患で、特に心臓の出口にある大動脈弁が狭くなる大動脈弁狭窄症が増加しています。人工弁に置き換える弁置換術が基本的な治療法で、超高齢者の患者さんでも安定した成績で手術が行えています。最近、人工弁を使用せず自己の心膜で形成する手術を、若年の方を中心に開始しました。この術式はワーファリンが不要で長期耐久性が期待されています。心臓(左心室)の入り口にある僧帽弁は、きちんと閉じない閉鎖不全症が主で、自己弁を温存する弁形成術を中心に行っています。弁膜症に対しては可能な場合は患者さんに負担の少ない右小開胸で手術を行うようにしています。動脈瘤に対するステント-グラフト内挿術は、特に胸部大動脈瘤では開胸手術に比べ体への負担が格段に軽くてすみます。通常の人工血管置換術とステント-グラフト内挿術を症例ごとに最適と思われる治療を選択するようにしています。冠動脈疾患に対してはカテーテル治療が適さない症例は冠動脈バイパス術を行っており、長期成績が良好です。心臓を止めずにバイパス術を行うことにより、心機能低下を防止するようにしています。
脳神経外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K164-2 慢性硬膜下血腫穿孔洗浄術 34 0.62 10.85 26.47% 78.38
K178-4 経皮的脳血栓回収術 29 0.10 19.14 65.52% 79.07
K1692 頭蓋内腫瘍摘出術(その他) 28 3.68 16.79 10.71% 55.79
K1781 脳血管内手術(1箇所) 等 25 1.04 23.32 32.00% 60.32
K609-2 経皮的頸動脈ステント留置術 20 3.00 6.90 10.00% 73.30
脳神経外科において1番目に多い手術は、慢性硬膜下血腫に対する穿孔洗浄術です。高齢者に多く、軽微な頭部外傷を負った1~2ヶ月後に、頭痛や歩行障害、認知機能の低下などの症状で発症します。比較的急速に悪化するため、救急入院して緊急手術となることがほとんどです。手術は局所麻酔で短時間で終えることができ、術後はたちまち症状が改善し、もとの状態に戻って、約7割の方が自宅へ退院されます。
2番目に多い手術は、経皮的脳血栓回収術です。これは脳梗塞に対する血管内治療です。脳動脈の閉塞により突然の神経症状の発症、すなわち脳卒中で救急入院されます。緊急で血管内治療により血栓を除去して血流が再開できると、脳梗塞に陥ってしまう神経細胞を最小限にできますが、治療結果の程度は様々で、短期入院で自宅退院される方から長期にわたるリハビリが必要になる方までおられます。
3番目に多い手術は、脳腫瘍の摘出術です。良性のものと悪性のものがあります。良性の場合は術後抜糸がすめば1週間ほどで退院できます。悪性の場合は引き続き放射線治療や化学療法の追加が必要で、約1.5カ月の入院が必要です。
4番目に多い手術は、脳動脈瘤に対する血管内手術です。動脈瘤に対する治療法としては、開頭によるクリッピング術と、血管内手術によるコイル塞栓術のふたつがあります。血管内手術では、動脈を介してカテーテルを送り込み、金属製のコイルを動脈瘤内に詰めて閉塞させます。開頭手術に比べて侵襲の少ない方法であり、年々増加傾向にあります。動脈瘤が破裂してくも膜下出血で発症して入院される場合は入院期間が約1か月になりますが、まだ破裂していない動脈瘤に対する予防的な手術の場合は、短期間で後遺症なく自宅へ退院されます。
5番目に多い手術は、頚動脈狭窄に対するステント留置術です。糖尿病や高血圧など生活習慣病が原因となり、頚の血管が細くなると脳梗塞になるリスクが高くなります。70%以上の狭窄の場合、血管を太くする治療が必要であり、中でもステント手術は短い入院期間で退院可能です。また、脳梗塞で入院された後にステントが必要となった患者さんの中には、リハビリテーション目的で転院が必要な方もいらっしゃいます。
整形外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K0461 骨折観血的手術(大腿) 等 96 2.50 17.32 63.54% 72.99
K0821 人工関節置換術(膝) 等 67 1.39 18.82 23.88% 73.57
K1426 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(椎弓形成) 60 2.17 15.92 53.33% 67.63
K0811 人工骨頭挿入術(股) 等 53 2.75 17.94 83.02% 84.02
K1423 脊椎固定術、椎弓切除術、椎弓形成術(後方椎体固定) 53 2.47 16.62 41.51% 65.49
令和4年度の整形外科手術件数は1532件でした。昨年度に比べやや増加しています。その中でも昨年度に引き続き股関節の骨折に対する骨接合術が最多で増加しています。第2位は股関節や膝関節の変形性関節症等に行う人工関節の手術でした。第3位と第5位は脊椎の手術で、いずれも増加傾向にあります。
形成外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K628 リンパ管吻合術 17 0.88 5.88 0.00% 55.76
K476-4 ゲル充填人工乳房を用いた乳房再建術(乳房切除後) - - - - -
K013-23 全層植皮術(100cm2以上200cm2未満) - - - - -
K0062 皮膚、皮下腫瘍摘出術(露出部以外)(長径3cm以上6cm未満) - - - - -
K427 頬骨骨折観血的整復術 - - - - -
形成外科では、顔や手足をはじめ全身の表面にできた傷や変形をきれいに治すことを主な目的としています。けが、顔の骨折、やけど、できもの、あざ、先天異常、治りにくい傷(難治性皮膚潰瘍)、がんの切除・再建および乳房再建などの治療をおこなう外科系の専門領域です。形成外科の手術で圧倒的に一番多いのはほくろやおできなど皮膚のできもの(皮膚腫瘍)の摘出術ですが、ほとんどは外来での手術です。入院手術で多いのはリンパ管吻合術、乳房再建術(乳房切除後)、全層植皮術、皮膚、皮下腫瘍摘出術、頬骨骨折観血的整復術です。
リンパ管静脈吻合術とはマイクロサージャリー(顕微鏡下の微小手術)の技術を用いた、リンパ浮腫に対する外科的治療です。
乳房再建とは、乳がんの手術によって失われた乳房をできるだけ元の形に復元する手術です。乳房再建の時期は乳がんの手術の際に行う一次再建と、乳がん術後に行う二次再建とがあります。乳房再建の方法には大きく分けて、シリコンバッグなどの人工乳房による再建と、患者さん自身の皮下脂肪を胸に移植する再建があります。乳房再建の希望がある患者さんに対しては、乳がんの手術前に乳腺外科から形成外科に紹介されることが多くなっています。
外傷や熱傷で皮膚欠損が大きく、縫合による閉鎖が不可能な場合に植皮術を用います。自分の皮膚を用いる植皮には使う皮膚の厚さで、分層植皮術から全層植皮術までいろいろな方法があります。サイズの大きい皮膚のできもの(皮膚腫瘍)で手術後の安静が必要な場合は入院で手術を行います。
顔面の骨折は形成外科で手術を行います。顔面骨骨折で一番多いのは鼻骨骨折で、ほとんどの場合外来手術になりますが、頬骨骨折は全身麻酔下にプレート固定を行うため入院手術になります。
泌尿器科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K783-2 経尿道的尿管ステント留置術 161 0.04 1.73 4.35% 68.17
K8036イ 膀胱悪性腫瘍手術 経尿道的手術 電解質溶液利用のもの 等 72 1.33 3.15 0.00% 75.18
K843-4 腹腔鏡下前立腺悪性腫瘍手術(内視鏡手術用支援機器を用いるもの) 等 42 1.26 9.71 0.00% 69.76
K7811 経尿道的尿路結石除去術 レーザーによるもの 等 37 1.41 2.97 2.70% 63.46
K007-2 経皮的放射線治療用金属マーカー留置術 15 1.13 1.20 0.00% 72.87
泌尿器科疾患における治療は、尿路性器癌(腎癌、腎盂尿管癌、膀胱癌、前立腺癌)に対するものが最も多くなっています。その内訳として、腎癌に対しては、腎温存のできない大きな癌に対しては、鏡視下腎摘除術を行っています。転移を有する進行癌に対しては、薬物療法や免疫療法を主体に治療を行っています。腎盂尿管癌に対しては、早期の場合、鏡視下での手術療法を行い、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。膀胱癌に対しては、早期の場合、内視鏡手術を中心に治療を行い、転移のない進行癌に対しては膀胱全摘(ロボット支援手術)を、転移を有する進行癌に対しては全身抗癌剤治療、免疫療法を主体に治療を行っています。前立腺癌に対しては、早期の場合ロボット支援手術を行い、転移・進行癌に対しては内分泌、放射線、全身抗癌剤治療などを行っています。悪性腫瘍以外の疾患では、腎尿管結石に対しては、結石の大きさや状態に応じて、体外衝撃波結石破砕術や細径内視鏡下のレーザーを用いた砕石術を行っています。また、婦人科疾患や消化器疾患に伴う尿管狭窄に対して尿管ステント留置による尿路確保を積極的に行っています。
産科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8981 帝王切開術 緊急帝王切開 等 46 1.20 7.43 0.00% 31.70
K8982 帝王切開術 選択帝王切開 等 29 1.34 6.97 0.00% 31.45
K9062 子宮頸管縫縮術 シロッカー法又はラッシュ法 - - - - -
K9091イ 流産手術 妊娠11週までの場合 手動真空吸引法によるもの - - - - -
K911 胞状奇胎除去術 - - - - -
妊娠・出産はほとんどの場合が順調に経過しますが、母体や胎児、あるいは両方に突然問題が起こることがあります。妊娠初期にはさまざまな理由で10~15%が流産になるとされています。主な原因は胎児側の要因で自然淘汰と考えられます。お腹の痛みと生理よりも多い出血があって、多くは自然流産となりますが、子宮内にとどまることがあります(稽留流産)。その場合は流産手術が必要になることがあります。子宮内ではなく卵管や卵巣などに妊娠することがあり(異所性妊娠)、お腹の中で大量に出血し、かなり強い下腹部痛が起こり、ショック状態となることがあります。手術をしなくてすむこともありますが、できる限り腹腔鏡下に手術を行います。切開創が小さく、早期退院が可能です。胞状奇胎という特殊な妊娠は除去を行って、しばらく厳重な経過観察をしていきます。子宮頚管縫縮術は頚管無力症や早期からの切迫流産(頚管が短くなったり緩んだり)、早産既往の方が対象となり、妊娠12週から15週頃の予防的手術と、それ以降22~23週頃までの治療的手術があります。骨盤位や多胎妊娠、既往帝王切開後、胎盤の位置異常などは、帝王切開を行っています。妊娠経過が順調で、経腟分娩をトライしていても、分娩が進行しなかったり、母体合併症の悪化や妊娠に伴う合併症(妊娠高血圧症候群など)の悪化、胎児にストレスが認められた場合(胎児機能不全)は緊急で帝王切開となる場合があります。帝王切開率は約25~30%となっています。お母さんにとって安心してお産ができ、元気な赤ちゃんを迎えていただけるよう、お手伝いしていきます。
婦人科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K8882 子宮附属器腫瘍摘出術(両側) 腹腔鏡によるもの 等 65 1.02 3.98 0.00% 44.29
K877-2 腹腔鏡下膣式子宮全摘術 等 61 1.02 4.89 0.00% 47.97
K877 子宮全摘術 58 1.09 6.81 0.00% 47.79
K867 子宮頸部(腟部)切除術 46 1.00 1.00 0.00% 36.35
K872-31 子宮鏡下有茎粘膜下筋腫切出術、子宮内膜ポリープ切除術 電解質溶液利用のもの 37 1.00 1.00 0.00% 44.76
婦人科手術のなかで、(②と③)子宮全摘出術は一番頻度の多い手術です。子宮筋腫、子宮腺筋症などの良性疾患の根治的手術となります。子宮の大きさや分娩歴、過去の開腹手術既往など、条件を吟味して、②の腹腔鏡下子宮全摘術を行うか、③の開腹子宮全摘術を行うかを選択します。 ④子宮頚部(腟部)切除術は円錐切除術と言われ、子宮腟部高度異形成という子宮頚癌の前癌病変や、ごく初期の子宮頚癌に対する、診断・治療目的の手術です。子宮頚癌検診を定期的に受けていただくと、この前癌状態で早期発見できます。この手術によって子宮を温存できれば、将来の妊娠の可能性を残せます。 ①子宮附属器腫瘍摘出術(腹腔鏡によるもの)は、良性の卵巣腫瘍(卵巣嚢腫)を対象としての手術です。卵巣卵管を全摘する方法と、腫瘍部分のみを取り除く方法があります。子宮全摘術と同様に、アプローチの方法によって開腹手術と腹腔鏡下手術の方法がありますが、令和4年も多くの方が腹腔鏡下手術を受けられました。 ⑤子宮鏡下手術は、子宮内腔に発生する子宮内膜ポリープや粘膜下子宮筋腫を、子宮鏡という内視鏡下に切除する手術法です。発生部位が子宮内腔に限られる場合が適応です。子宮は温存できます。
眼科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K2821ロ 水晶体再建術 眼内レンズを挿入する場合 その他のもの 等 70 0.00 1.00 0.00% 74.46
眼科における入院での手術の大部分は、白内障手術です。当院では、日帰り手術も施行していますので、実際の症例数や種類は上記よりも多いです。
耳鼻咽喉科・頭頸部外科
Kコード 名称 患者数 平均
術前日数
平均
術後日数
転院率 平均年齢 患者用パス
K3772 口蓋扁桃手術 摘出 等 48 2.21 6.92 0.00% 26.13
K340-5 内視鏡下鼻・副鼻腔手術III型(選択的(複数洞)副鼻腔手術) 等 17 2.18 3.76 0.00% 63.18
K4571 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺浅葉摘出術 16 1.56 4.88 0.00% 59.00
K340-6 内視鏡下鼻・副鼻腔手術IV型(汎副鼻腔手術) 13 2.46 4.08 0.00% 57.15
K4572 耳下腺腫瘍摘出術 耳下腺深葉摘出術 - - - - -
耳鼻咽喉科・頭頸部外科で1番目に多い口蓋扁桃手術・摘出は慢性扁桃炎、IgA腎症、睡眠時無呼吸症候群の患者さんに対して、症状改善目的で施行します。2・4番目の内視鏡下鼻・副鼻腔手術は慢性副鼻腔炎の患者さんで、投薬でのコントロールが困難な方に対して、症状改善目的で手術をします。3・5番目の耳下腺腫瘍摘出術は腫瘍摘出し、根治します。
その他(DIC、敗血症、その他の真菌症および手術・術後の合併症の発生率)ファイルをダウンロード
DPC 傷病名 入院契機 症例数 発生率
130100 播種性血管内凝固症候群 同一 - -
異なる 13 0.12%
180010 敗血症 同一 23 0.21%
異なる 30 0.28%
180035 その他の真菌感染症 同一 - -
異なる - -
180040 手術・処置等の合併症 同一 91 0.84%
異なる 17 0.16%
当院の症例数が10症例未満の項目は表示が 「 ‐ (ハイフン) 」 となっています。
播種性血管内凝固症候群については、どの症例においても様々な原因からこの疾患を発症しており、高度な医療を提供していることから、臨床的な根拠に基づいて妥当であると考えています。
次に敗血症については、医療資源傷病名と入院契機傷病名が同一であるものが23症例あり、異なるものは30症例となっています。尿路系疾患や癌、胆管胆のう疾患などが原因で全身状態が悪化し、重症な病態から敗血症に至った症例です。
そして、手術・処置等の合併症については、術後の出血及び感染、体内挿入物の位置異常、透析カテーテルの合併症などが挙げられます。
更新履歴
令和5年9月21日
香川県立中央病院 病院指標を公開しました。