診療内容
潰瘍性大腸炎・クローン病という病名を御存知でしょうか? 潰瘍性大腸炎は大腸に潰瘍ができ、血便・下痢・腹痛などの症状が出現します。クローン病は小腸・大腸に潰瘍が、肛門に痔瘻(じろう)ができ、下痢・腹痛・肛門の痛みなどが出現します。いずれも小児~若年者に多く発症し、慢性的な炎症を繰り返すことが特徴的で、年々有効な治療法が増えてはいるもののすべての患者さんに効く治療法はなく、時には重症化し手術を必要とすることもあり、厚生労働省の難病に指定されています。この二つの病気を含めて炎症性腸疾患、IBD (Inflammatory Bowel Disease)と呼ばれています。根本的な原因は解明されていませんが、遺伝的な素因を有する人が食事、腸内細菌などの影響で免疫機構の異常をきたし、発症すると推測されています。日本の患者数は年々増加しており、皆様御自身、皆様の家族や友人の中にも、これらの病気でお悩みの方がいらっしゃると思います。
香川県立中央病院では数十年前より多くのIBD患者さんの診療を行っており、現在では約470名の潰瘍性大腸炎の患者さん、約200名のクローン病の患者さんが当院で治療を受けられています。地域の医療機関とも勉強会などを通じて連携を進めており、治療が奏効して病状が改善した患者さんは、地域の医療機関にその後の治療をお願いしています。
IBDの診療には、消化器内科・消化器外科・小児科・看護師・薬剤師・管理栄養士・地域連携室のスタッフ・メディカルソーシャルワーカーなどの連携が欠かせません。部署を越えて「チーム・県中」として協力するために、当院では2017年に四国では初めてとなるIBDセンターを設立しました。月1回 カンファレンスを行い、患者さんの治療方針の検討、最新情報の共有などを行っています。また、IBD患者会や保健所などが主催する講演にも積極的に参加し、IBDの検査や治療法、生活上の注意点などについての知識の普及にも務めています。患者さんにとって苦痛の少ない検査を心がけており、超音波検査、カプセル内視鏡検査なども積極的に行っています。多くの新薬の臨床試験にも参加しており、最近承認された生物学的製剤や分子標的薬の大部分は当院も臨床試験に参加した薬剤です。
2022年4月から、IBDセンターのメンバーに 安富 絵里子医師が加わりました。安富医師は当院着任前は岡山大学病院でIBDを中心に消化器内科の診療に携わっており、IBD治療薬やIBDの活動性評価に有用な便中マーカーや血清マーカーなどに関する論文を多数執筆しています。また、2024年5月からは、澤田 ひかり医師がメンバーに加わり、2024年10月から月曜日の外来を担当しております
香川県立中央病院のIBDセンターは設立8年目を迎えました。今後も香川県はもとより、四国のIBD患者さんに少しでも貢献できればと考えています。「下痢、血便、腹痛、肛門のトラブルを認める患者さんがいるが、診断がつかない」、「IBD患者さんの治療に難渋している」など、お困りのことがありましたら、御気軽に御相談頂けましたら幸いです。
消化器内科 IBD(潰瘍性大腸炎・クローン病)
スタッフ紹介
いなば ともき
稲葉 知己
たかはし さくま
髙橋 索真
やすとみ えりこ
安富 絵里子
さわだ ひかり
澤田 ひかり
おおたに ひろき
大谷 弘樹
おかもと よしお
岡本 吉生
よしもと あきこ
吉本 亜希子
ひがしやま なおみ
東山 直美
ちかいし まさこ
近石 昌子
さくえい まき
作榮 麻紀
よこくら ゆき
横倉 由季
たなか ゆう
田中 優
まるやま あかり
丸山 阿加里
たけなか しおり
竹中 志織
かがわ あゆみ
香川 歩美
なかしま あきこ
中島 彰子
ふくだ やすよ
福田 泰代
たかはし さおり