画像診断(CT、MRI、核医学)
当院には128列のマルチスライスCTが1台、64列のマルチスライスCTが2台、静磁場強度3テスラのMRIが1台、1.5テスラのMRIが1台、核医学に用いるSPECT装置が2台(うち1台はCTを内装)、PET装置が1台あり、全身の精密な画像検査を行っています。
各検査で得られた画像は終了後すぐに読影室に転送され、放射線診断専門医が画像を読影、診断します。診断の結果報告書は、電子カルテを通じて主治医に返されています。検査の目的となる臓器の病気の診断はもちろんのこと、その他の部位でも画像上の病変を発見、診断しています。
CT
CTはX線を用いて身体を輪切りにした断面像を撮影し、体内の構造を詳しく検査することができ、画像診断の中心的役割を果たしています。多数の検出器を搭載したマルチスライスCTを用いることで、より詳細で高速な検査が可能となり、細かい病変の評価・発見や救急医療への対応が可能となっています。病気によってはヨード造影剤を静脈注射しながらCTを撮影することにより、血管などの情報を加えた詳細な画像を得ることができます。
CTで得られた画像はコンピュータを用いて処理することで、様々な方向から見た画像を作成したり、3次元画像や血管画像も作成可能であり、診断率の向上に役立つだけでなく、外科手術やカテーテル治療のナビゲーション用としても広く使われています。
心臓領域のCT撮影も標準検査となっており、以前は心臓カテーテル検査でしかできなかった冠動脈の評価がCT検査でもできるようになっています。
MRI
MRIは磁気を用いて体内の構造を画像化する検査です。磁場の強さはテスラという単位で表され、撮影する体の部位によっては磁場の強い装置ほど詳細な画像を得ることができます。当院では1.5テスラの標準磁場の装置に加えて、3テスラの高磁場装置を導入しています。
MRIはCTほど短時間に広い範囲の画像が得られるわけではありませんが、病変の構造だけでなくその性質をも評価することが可能であり、CTで見つかった病変をMRIでさらに詳しく見ることもあります。また、特に中枢神経領域や骨関節領域、骨盤内臓器などではCTでは見られない構造までも画像化することが可能です。中枢神経領域では脳梗塞の早期診断に欠かせない診断装置であり、造影剤を用いることなく脳血管を評価することもできます。
核医学
核医学は主に各臓器の機能が評価できる画像診断です。脳、心筋、肺などの血流、肝機能、腎機能、骨代謝などを様々な放射性医薬品を用いて画像化し評価することができます。CTやMRIほど一般的な画像検査ではありませんが、CTやMRIでは分からない機能評価ができることが大きな特徴です。
2014年度からは最新の核医学検査のひとつであるPET装置が導入されました。FDG-PETは糖代謝を画像化できる手法であり、一般的に糖代謝が盛んであるというがん細胞の特徴を利用して、がん細胞を検出することができます。全身を一度に検査することが可能であり、がんの早期発見やがんの広がり・転移の評価を行うことができます。
インターベンショナルラジオロジー(IVR)部門
インターベンショナルラジオロジー(IVR)とは、CT・超音波や血管撮影装置など放射線診断装置を用いて行う検査・治療のことです。主に局所麻酔下に針やカテーテルを用いて行い、外科的手術に比べ低侵襲であることが利点で、患者さんの苦痛軽減、入院期間の短縮や費用の削減効果などもあります。
IVRは動脈や静脈に対する手技(血管系手技)と、それら以外(非血管系手技)に分かれます。放射線科では、病理検査のためのCTガイド下針生検術、消化管出血・子宮出血・喀血・交通外傷・術後出血など様々な出血に対する動脈塞栓術(止血術)、腹腔内膿瘍のドレナージ術などのIVRを主体に様々な検査・治療を行っています。
全国IVR症例登録事業参加について
当院は日本IVR学会のIVR専門医修練認定施設に認定されており、日本IVR学会が主催するIVR症例登録事業に参加しています。
当院では、患者さんに安心して医療を受けていただくために、安全な医療をご提供するとともに、患者さんの個人情報の取り扱いにも、万全の体制で取り組んでいます。
日本IVR学会(事務局:〒355-0063埼玉県東松山市元宿1丁目9番4号FAX:0493-35-4236)では、 本学会に参加する施設で行ったIVR診療(血管塞栓術、血管拡張術など)の情報を登録し、IVR診療の状況を把握し、 各種疾患の診断治療の向上に役立てる取り組みをIVR学会症例登録として実施しております。
この事業は、現在の我が国のIVR診療の現状を浮き彫りにし、基礎と臨床の種々の研究にも貢献するものと考えられます。
当院は、上記の日本IVR学会による全国症例登録の趣旨に賛同し、登録事業に積極的に協力してまいります。 当院でIVR診療を行いました患者さんについては、個人情報を削除した後、診療内容をIVR学会事務局に届出いたします。 但し、非同意の意思表示がなされた場合は届出を致しません。 また、後に非同意や登録の削除を申し出られました場合にも登録を削除致します。ご不明な点などありましたら、診療科の担当医までお気軽にお尋ね下さい。
放射線治療部門
放射線治療は外科療法、薬物療法(抗がん剤治療)とならび、がん治療の三本柱の1つです。その特徴として「臓器の形態を保てる」、「副作用が少ない」、「毎日の治療が短時間ですむ」などがあげられます。そのため、がんの種類や進行状況と患者さんの全身状態、治療に関する希望に応じ、「治癒」を目指す治療から「症状緩和」を目的とした治療まで、幅広く対応可能な治療です。近年、治療機器を中心とした放射線治療の進歩はめざましく、ピンポイント照射といった高精度治療が可能となり「治療成績の向上」、「副作用の低減」といった報告が多数みられます。
ただ、近年の医療の発展/専門化により、高いレベルで安全な放射線治療を提供するためには一つの科の努力では困難な状況です。当院におきましては、各診療科が連携し、よりよい放射線治療を提供するための努力をしています。
当院で使用する放射線治療装置「ノバリスTx」、「エレクタシナジー」はともに最新鋭の放射線治療装置であり、正確で副作用の少ない放射線治療が可能です。また香川県に2病院にのみ設置されている小線源治療装置による婦人科がんの治療も特徴の一つとなっています。しかし、高機能化した装置を用いた最適な医療の提供には専門的な知識・経験を持つ医師による放射線治療の計画に加えて、それを高いレベルで支える経験豊富なスタッフが必要です。当院では、放射線治療の知識を持つ診療放射線技師や専門技師、看護師、医学物理士、品質管理士などのスタッフがチーム医療を支え、品質管理を行なっています。
通常照射
放射線治療装置の寝台に寝ていただいて治療を行ないます。1~6方向からの照射がよく用いられ、X線/電子線を用いた照射となります。照射時間は1日あたり10~15分程度で終了し、照射中に放射線による熱さや痛みを感じることはありません。治療期間は1週程度のものから2ヶ月程度かかるものもあります。治療期間に関しては全身状態や一般的なガイドラインをもとに決定していきます。
高精度照射
ノバリス特設ページにて解説しております。
小線源治療(RALS)
ラルスや腔内照射(くうないしょうしゃ)と呼ばれている治療法で、当院では主に子宮頚がんに対して行なっています。子宮頚がんには、外部照射と小線源治療の両者を併用することが基本になります。治療の部屋に入って照射終了するまで1時間半~2時間程度かかり、子宮頚がんの場合は週1~2回のペースで合計2~5回行います。
RALSは香川県内に当院を含め2箇所しかありません。当院は子宮頚がん治療の香川県内における基幹病院あり、日本婦人科腫瘍学会専門医と協力して治療しています。組織内照射に関してはノバリス特設ページにて解説しております。
緩和的放射線治療
痛みをはじめとする身体症状の改善やQOL(生活の質)の向上を目的として行われる放射線治療のことを、緩和的放射線治療といいます。当院では、各診療科、緩和ケア内科と連携し、緩和的放射線治療も積極的に行っています。
骨転移・脳転移・肺転移・リンパ節転移などの転移がん、原発巣のがんによる、疼痛・麻痺・神経障害・出血・血流障害・嚥下困難・咳嗽・息切れ等の症状の緩和を目的として行われます。