診療内容
診療科長(部長)本田 透
当部門の概要と基本方針
当部門には、医師4人、理学療法士19人、作業療法士6人、言語聴覚士4人、補助職員1名、医療クラーク2人、受付事務員1人が所属しております。本年度は、リハビリテーション科専門医資格取得を目指す専攻医も1名加わり、気分も新たに私たちの業務を見直しながら、日々、いろいろな疾患や障害、社会背景を持った患者さんに関わらせて頂いております。
私たちは、当院に入院となった患者さんが、各診療科による先進的な医療をより良いコンディションで受け、できるだけ早くもとのスタイルに近い生活ができるよう支援しています。
私たちは、生活習慣病、がん、またその両方に罹患している患者さんに多く関わらせていただきます。患者さんの活動レベルが高く保たれているほどこれらの疾患の再発率が低く生命予後がよいことがわかってきておりますので、私たちの仕事は患者さんの治療成果に直結しています。
当科の医師と当部門のスタッフは、リハビリテーションを行っている全患者さんについて、週1回、各病棟でカンファレンスを行い、あるいは各科のカンファレンスに参加して、病棟看護師や患者サポートセンター職員とともに、それぞれの患者さんの治療方針やリハビリテーションの進捗状況を 確認するとともに、患者さんが当院での治療を終えた後の生活の場やリハビリテーションの続け方など検討しています。
当科にリハビリテーションを依頼された患者さんを科別にみると、整形外科が最も多く、骨折等の外傷の患者さん、四肢や脊椎の手術を受ける患者さんにも、ご入院の日から状態に応じたリハビリテーションを始めます。ご高齢の大腿骨近位部骨折の患者さんには、整形外科の方針を確認して手術翌日には立位・歩行練習を開始しています。
脳卒中の患者さんについては、早期から四肢の運動や日常生活動作の練習、離床して行動する練習、嚥下と食事の練習、また、コミュニケーションの練習などを行います。
脳卒中と大腿骨近位部骨折の患者さんについては地域連携パスがあり、積極的リハビリテーションの対象となる患者さんをより良い状態で回復期病院に送り出すよう努めています。
虚血性心疾患や心不全の患者さんには、循環器内科医師の指示とチェックのもと、入院中はもとより、退院後の一定期間、看護師、薬剤師、栄養士らと協力して運動と生活習慣についての指導を行います。心不全のため入院された患者さんにも段階を追って活動範囲を拡大していくプロトコールがあり、これにより患者さんの生活力の回復を促進し、再入院率を低減させています。
呼吸器外科の患者さんには、手術が決まった日に全身的な運動やインセンティブスパイロメトリーを用いた呼吸訓練を指導しています。他科の患者さんも、術前に呼吸訓練等を行うほうが良い場合には、同様に術前のリハビリテーションをご依頼いただいています。
この他、各臓器の疾患の特性に配慮してリハビリテーションを行っています。
がん患者さんについては、手術前後や抗癌剤治療中、放射線治療中のコンディション作りをお手伝いするとともに、退院後にも栄養状態に応じてできるだけ活発に運動を続けていただくよう指導しています。
様々な疾患や加齢による嚥下機能も患者さんのQOL(Quality of Life)を大きく左右します。確実な栄養摂取、また、食のQualityへの配慮など入院患者さんについて、各疾患や廃用による嚥下障害のリハビリテーションに積極的に取り組んでおります。
Sustainableな体制への変革
心身の活動性が低い、あるいは低下しそうな患者さんが入院すると、直ちに当科に紹介いただくスタイルが定着してきておりました。当科に依頼される患者さんは年々増加し、2019年度には年間4,962人になり、2020年度は新型コロナウイルス感染患者への対応などのため4,458人に減少しましたが、2021年度は5,024人となりました。
一方、2022年春、当部門でもスタッフの働き方改革に取り組むことになり、当部門の職員の超過勤務を大幅に削減するために、当院でのリハビリテーションの対象患者さんを見直しました。現在は、侵襲の大きい手術を受けた患者さんや、重症の救急搬送患者さんへの標準的なリハビリテーションを優先し、短期間の入院予定で日常生活にお困りでない行動力がある患者さんの理学療法はお断りする体制に移行しました。そのため、2022年度は当科に依頼された患者さんの数は減少しました(図1)。
当院では、2014年度から入院検査説明センターがリハビリテーション開始手続きを支援するようになり、手術や治療の前に当科で運動や呼吸について指導する患者さんが増え、2021年3月には同センターの機能は患者サポートセンターに引き継がれ、対象患者さんの枠を拡大して入院患者さんのコンディション作りに力を入れることになりました。これにより、通常短期間の入院で小侵襲の手術や内視鏡治療、また、カテーテル治療などを受ける多くの高齢・超高齢患者さんが当科へ依頼されるようになりました。しかし、これらの各科の治療前の患者さんについても、2022年度以降は依頼をお受けした患者さんの数は減っております(図2)。
これは、当部門がSustainableな態勢を維持するためにも必要な変革であります。
近年、生活習慣病でもがんでも、サルコペニアが予後不良因子になることが明らかになっています。それぞれの生活習慣病の種類ごとに、また、がんの種類ごとに、活動レベルが高い患者さんのほど再発率が低く生命予後が良好であることが示されています。また、私たちが治療に当たる患者さんの多くが、これらの疾患を複数持っていらっしゃいます。
全病棟をカバーする立場から言えば、急性期を乗り越えた動ける状態の患者さんや、がんの治療を受けた患者さんが続けるべき運動は、中程度の負荷の筋力トレーニング(著しく体力がていかしているかたや超高齢のかたなどでは軽負荷で高頻度の運動)と有酸素運動、更に転倒予防も考慮してのバランスの練習に集約されます。
今後は、これらの基本的な運動の指導は、病棟の看護師、薬剤師、管理栄養士による生活指導に組み込んでもらうよう提案していきます。
本診療ガイドをお読みの先生がた、また、各施設の職員の皆様にも、患者さんが活動レベルを高く保つよう、継続可能な運動をご指導頂ければ幸いです。
診療指針
- リハビリテーション部の組織作りを行い働きやすい職場を目指します。
- 県民に信頼される医療人材を育成します。
- 全員がコスト意識を持ち、業務の効率化を図り、持続可能な医療を提供します。
クリックするとそれぞれの詳細な説明へジャンプします。
実績
私たちは、週一回のカンファレンスや回診で、患者さんの病状や治療方針、また、リハビリテーションの進捗状況についての情報を各診療科の医師や病棟のスタッフと共有しています。また、必要時には、各部門のスタッフが直接連絡を取り合って患者さんの状態の変化に対応します。患者さんの生活環境を考慮した指導を行い、生活習慣病の患者さんには、再発防止のため生活習慣の改善についても指導します。大腿骨近位部骨折や脳卒中などの地域連携パスを用いた治療にも、急性期の治療を担当する計画管理病院として積極的に取り組んでいます。
診療予定表
午前
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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本田 透 | 本田 透 | 本田 透 | 本田 透 | 本田 透 |
午後
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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本田 透 | 本田 透 | 本田 透 | 本田 透 | 本田 透 |
※医師が学会等出張の場合、休診となることがあります。
○受付時間は午前8時15分~午前11時
(再来受付機 予約診療:午前8時15分~午後4時
予約外診療:午前8時15分~午前11時)
※各科からの紹介のみ
12月23日 (月) リハビリテーション科 本田 透医師 休診
スタッフ紹介
ほんだ とおる
本田 透
おの やすひろ
小野 恭裕
にしむら あきよ
西村 彰代
にしもと めぐみ
西本 めぐみ
すぎもと けいすけ