最終更新日:2022/03/15

子宮内膜症

子宮内膜症は、本来子宮内にしか存在しないはずの子宮内膜がそれ以外の場所で増殖し、毎月の月経時に出血することで症状を起こし、病巣が増大してゆく病態です。

診断

子宮壁内で起こると子宮腺筋症、卵巣に起こると卵巣子宮内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞)と言います。主な症状は、月経痛です。
卵巣チョコレート嚢胞からは卵巣癌が発生することが知られています。その頻度は0.7%程度とされていますが、年齢が高くなるほど、あるいは嚢胞が大きいものほど、癌化のリスクが上昇します。
特に40歳以上で長径10㎝以上あるいは急に増大する場合などは、強い自覚症状が無くても手術を考慮する必要があります。また、嚢胞の破裂や感染などを起こすこともあり、緊急手術が必要となる場合があります。

治療法

子宮内膜症の薬物療法は大きく3種類あります。

  • ひとつは、低用量ピルです。これを内服すると卵胞の発育が阻害されエストロゲンは低値となり、子宮内膜の発育が止まり子宮内膜症の進展も止まります。基本的に20~30歳代の方に適します。
  • 2番目は、ジエノゲスト黄体ホルモン剤です。この薬を服用することにより子宮内膜増殖が抑制されて、チョコレート嚢胞も縮小を認めます。大変使いやすい薬ですが、不正性器出血が起こることがあります。副作用が少なく何年にわたっても使用可能です。
  • 3番目は、GnRHアナログ療法です。子宮筋腫の場合と同じようにGnRHアナログが使用できます。