定位放射線治療
脳の深いところにある腫瘍や、血管奇形などに対し定位放射線治療を行うことがあります。
手術による侵襲が大きいことが予測される場合、切らずに治療できる点放射線治療は有効な選択肢の一つと考えられています。当院でも、フレームレスの高精度放射線治療システム(Novalis)を用いて治療可能です。病気によってはフレームを用いたガンマナイフのほうが適している場合があり症例に応じて適切な放射線治療を行えるよう検討を行っています。
適応となる病気
脳動静脈奇形、脳硬膜動静脈瘻
簡単に手術で切除できる場合は、手術をお勧めしていますが、言語や運動をつかさどる部位に近い病変などに対しては定位放射線治療を行います。治療から数か月後に異常な血管消失することが知られています。緊急性のある病変には適しませんが、近年良好な長期成績が報告されつつあります。
転移性脳腫瘍
一般的に、がんが脳に複数転移した場合、有効な治療法は無いとされています。
国内外のガイドラインでは、脳全体に対する放射線治療が、根拠に乏しいですが推奨されています。しかしながら、脳全体に対する放射線治療は日数を要し、正常な神経細胞へのダメージが避けられないため、近年では神経機能維持を目的として定位放射線治療単独で転移性脳腫瘍に対する治療を行うことがあります。
また、全脳照射後に再発した腫瘍に対しての定位放射線治療の有効性も報告されています。まだ結論が出ていない領域ですが、患者さんの病態に応じて治療法などを提案し、相談させていただきます。
良性腫瘍
脳の良性腫瘍に対し、昔から定位放射線治療が行われてきました。脳の良性腫瘍は良性という名前がついてはいますが、徐々に大きくなり、何度も手術が必要なことがありました。定位放射線治療により腫瘍が増大することをコントロールできることが知られています。聴神経鞘腫、髄膜腫、下垂体腺腫などに適応があるとされています。
保険適応はないが、行われることがある病気
三叉神経痛、てんかんなどに対し定位放射線治療の効果が報告されています。保険収載はありませんが、国内外で広く行われるようになってきました。