内視鏡を用いた傷の小さな手術-胸腔鏡下手術
開胸手術
従来、肺がんの手術は開胸で行われてきました。皮膚を20-30cmほど切開し、筋肉を切断し、さらに肋骨の間を大きく割って傷を広げます。
胸腔鏡手術の導入と発展
当科では、2003年に早期がんに対して「完全胸腔鏡下肺葉切除術」を中四国地域において最も早く開始しました。現在では内視鏡手技に練達した呼吸器外科専門医によるチーム型手術の体制を確立しています。
胸腔鏡手術の利点
傷が小さく筋肉や神経に対する損傷が少ないため、開胸手術に比べて術後の痛みは軽く、回復も早くなります。
当科で主に行われる手術方法です。小さな穴(ポート)を通して、胸の中を完全に内視鏡映像だけを見ながら手術を行います。
手術の方法:
胸に3、4カ所のポートを用います。ポートの一つから胸腔鏡を挿入し、映像(モニター)を見ながら、内視鏡手術用の器具を使って手術を行います。肺を切除した後は、肺を袋に回収して体の外に取り出します。
安全性:
国内の呼吸器外科手術の集計では、手術中の大出血が年間100件ほど起こっています。特に完全胸腔鏡手術では傷が小さいので、細心の注意を払って操作を行うことが要求されます。
内視鏡手術の初期から多くの施設で行われてきた方法です。開胸と内視鏡とを組み合わせた、いわゆる二刀流的な手術といえます。
手術の方法:
執刀医は主に7cmほどの開胸創から胸の中を直接のぞき込みながら手術を行います。内視鏡による画像は、あくまでも補助的な役割です。
利点:
傷が小さいためやや見にくいですが、開胸手術に近い感覚で手術ができます。また、開胸用の手術器具を使用することができます。
欠点:
ある程度の大きさの開胸創が必要です。その分、痛みは強くなるため、術後の疼痛対策が大事になります。