診療内容
診療科長(部長) 三竿 貴彦
肺がんを中心に、転移性肺腫瘍、縦隔腫瘍、気胸など呼吸器外科全般を対象にして診療を行っています。香川県の中核施設として最新かつ最良の治療が提供できるように、常に新しい技術・知見を取り入れるべく努力しております。
県内全域から広く患者さんに手術を受けに来ていただき、そして安心して通院できるよう、かかりつけや最寄りの医療機関と連携してできるかぎりのサポートをします。
内視鏡やロボットを用いることにより、開胸に比べてずいぶん小さな傷で手術を行うことができます。そのぶん患者さんにとっては負担が軽く、「からだに優しい」手術と言えます。
当科はかなり早くから内視鏡手術に取り組んでおり、2003年に中四国でいち早く肺がんに対して「完全胸腔鏡手術」を導入しました。以来、より安全かつ確実な手技を確立するとともに、さらに新しい低侵襲手術を追求してきました。2016年には県内初の「ロボット支援下肺がん手術」を行い、2020年にはたったひとつの小さな傷だけで行う「単孔式胸腔鏡手術」を開始しました。
縦隔腫瘍については、従来の内視鏡手術に加えて、2021年に「ロボット支援下縦隔手術」を導入し、早期の胸腺腫瘍などに行っています。
これらの傷の小さな「からだに優しい」手術を、患者さんに応じて安全に使い分けることが大事です。
むかしと比べて肺がん手術後の人生は格段に長くなっており、健康寿命をいかに長く維持するかが大事になっています。その点、「健康な肺をたくさん残す」手術は、からだに優しい治療としていま特に注目されています。
従来は、肺葉と呼ばれる大きな肺のかたまりを切除する「肺葉切除」が当たり前で、いわゆる標準手術とされてきました。それに対して、もっと小さく肺を切除し、健康な肺を残す方法を「縮小手術」と呼びます。その中には、肺をくさび形に小さく取る「部分切除」と、やや大きく肺の一部の区画を切り取る「区域切除」のふた通りの手術方法があります。
最近の大規模な臨床試験によって、小型の早期肺がんでは縮小手術の成績が優れており、これまで行われてきた「肺葉切除」に劣らないことが分かりました。よって、早期がんに対しては「縮小手術」が治療の有力な選択肢として加わることになりました。
実際、当科でも縮小手術の割合は格段に増えています。ただし、取り残しによる再発を防ぐためには、質の高い手術を行うとともに,慎重に症例を選択することが大切です。
手術だけでは治療が難しい進行期の肺がんに対しては、呼吸器内科など他の診療科と協議したうえで、手術の前に薬物療法(抗がん剤/免疫チェックポイント阻害剤)や放射線療法を行って、がんの完全切除と完治をめざします。患者さんにとってはたいへんな治療となりますが、最新の知見ではその有効性が示されています。
通常の肺がんに対しては、先に手術を行ってがんを切除します。そして、約1~2週間ほどかかりますが、病理検査の結果を待ちます。一般的に、ステージⅡ以上の症例に対しては、再発を予防する目的に点滴での抗がん剤治療を行います。さらに、遺伝子検査などの結果によっては、抗がん剤治療に加えて分子標的薬や免疫チェックポイント阻害剤を追加投与することがあります。
がんの場所や転移したリンパ節によっては、肺全摘術と呼ばれる片方の肺を全部取り去る手術が行われてきましたが、身体的に負担が大きく治療成績は良いとは言えませんでした。したがって、手技はやや複雑になりますが、気管支や血管を切って再建する、いわゆる各種形成術を駆使して、可能な限り肺を温存することが求められます。
以上のように、進行がんにはいろんな手段を総動員して立ち向かわなければなりません。
肺の病変が小さい場合は、手術中に目で見ても指で触ってもわかりにくいことがあります.そのような病変を取り逃すことなく確実に切除するためには、それをいかに工夫して正確に見つけ出すかがとても大事です.
従来は手術の前にCTを撮影しながら針を肺に刺して、糸が付いた小さな金属を肺内に残す方法が行われてきましたが、気胸や空気塞栓(血管の中に空気が入り込む)を起こす危険性があることが大きな欠点でした。
当科では2014年からハイブリッド室に据え付けられているcone-beam CT装置を使って、見つけにくい小さな病変に対して手術を行っています。まずは、手術中に撮影されたCTの画像をたよりに正確に病変の位置を見きわめながら、すぐ近くの肺表面に小さな金属クリップでしるしを付けます。そして病変部を確実につかまえて、その部分を過不足なく切除します。この方法では、肺を針で刺す必要がないため、短時間かつ安全に手術を行うことができます。
左右の肺に挟まれた、胸の真ん中の区画を縦隔(じゅうかく)と呼びます。この縦隔に発生した腫瘍のことを、まとめて縦隔腫瘍と言います。
その中には良性、悪性、さまざまな腫瘍がありますが、代表的なものとして「胸腺腫」が挙げられます。胸腺腫は基本的には悪性腫瘍として扱われるため、小さなものでも原則として切除の対象となります。早期の胸腺腫に対しては、胸腔鏡やロボットを用いて傷の小さな手術を行います。特に、まわりの 胸腺組織を広く摘出する場合には「ロボット支援下縦隔手術」がたいへん有効です。
腫瘍が大きい場合やまわりの組織に広がっている場合は、胸骨を縦に切開してしっかり開胸したうえで腫瘍を切除します。心臓や血管などの重要な構造物に接しているため、進行した腫瘍では手術前の薬物療法や血管形成などの複雑な手技が必要となることがあります。
一方、神経原性腫瘍や嚢胞性腫瘤などの良性疾患に対しては、基本的に胸腔鏡手術を行っています。
呼吸器内科と協力し「気胸センター」として気胸の診療に当たっています。自然気胸では、再発例やドレナージで治りにくい症例に対して胸腔鏡手術を行っています。一般に若年者の自然気胸は手術後の再発率が高いため、空気漏れのある袋状の病変を切り取るなどの処置をしたのち,さらに吸収性のシート剤でその上を広く覆って補強します。初回の自然気胸の大部分はドレナージ(胸の中に管を挿入し脱気する)だけでいったんは治りますが、基本的には入院での治療となります。軽症の場合は経過観察のみ、あるいは簡易ドレナージキットを用いて通院治療を行うことがあります。
重度の肺気腫や間質性肺炎などに伴う続発性自然気胸ではしばしば治療に難渋し、長期の入院を要することがあります。当科ではそのような難治性気胸に対して、手術に加えて気管支充填術や癒着療法などの方法を組み合わせて対応しています。
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実績
診療予定表
午前
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
---|---|---|---|---|
三竿 貴彦 | 三竿 貴彦 | 青江 基 | 鹿谷 芳伸 | 青江 基 |
午後
月曜日 | 火曜日 | 水曜日 | 木曜日 | 金曜日 |
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三竿 貴彦 | 中嶋 章裕 | 青江 基 | 鹿谷 芳伸 | 青江 基 |
※医師が学会等出張の場合、休診となることがあります。
○受付時間は午前8時15分~午前11時
(再来受付機 予約診療:午前8時15分~午後4時
予約外診療:午前8時15分~午前11時)
11月29日 (金) 呼吸器外科 休診
12月20日 (金) 呼吸器外科 休診
スタッフ紹介
みさお たかひこ
三竿 貴彦
あおえ もとい
青江 基
しかたに よしのぶ
鹿谷 芳伸
なかしま あきひろ
中嶋 章裕
ばば ともひろ