最終更新日:2024/02/22

ギラン・バレー症候群 / 慢性炎症性多発根神経炎(CIDP)

 ギラン・バレー症候群は、末梢神経のうち手足を動かす運動神経におこる病気です。ウィルスや細菌などの感染で免疫系が刺激されることが原因で、自分の末梢神経組織を外敵と勘違いして攻撃してしまうことが原因と考えられています。最初は手足に力が入りにくく感じる程度で発症し、2-4週間くらいかけて症状が進行します。症状のピークでは手足が動かせなくなる、呼吸ができなくなるなど重症化することがあります。10万人あたり年間1-2人程度が発病する珍しい病気ですが我々神経内科医があつかう病気の中では脳卒中や髄膜炎に次いで緊急性の高い疾患です。神経伝導検査や脳脊髄液検査等を用いて早期に診断することにより、重症化する前に治療を開始することができます。患者さんが重症化してしまった場合には、集中治療室での呼吸管理や透析装置を用いた血液浄化療法などを行う場合もあります。

 慢性炎症性多発根神経炎(CIDP)はギラン・バレー症候群が進行の早い急性疾患と言われているのに対して、文字通り慢性に経過する末梢神経の病気です。感覚神経、運動神経両方が悪くなることが多く、経過や症状も多様です。症状が多様なので、鑑別すべき似たような病気もたくさんありますので診断は容易ではありません。神経伝導検査、脊髄や神経根のMRI撮影、脳脊髄液検査などに加え、当院では必要に応じて神経生検(末梢神経の一部を採取して顕微鏡で観察する)という検査を行い、遺伝性ニューロパチーや血管炎・感染症などをしっかり鑑別してから治療を行うようにしています。