頭痛について
頭痛は幅広い年代の方におこりうる一般的な症状です。しかし頭痛の種類や頻度は人により異なり、それぞれ異なる原因が関与しています。このページでは、頭痛の主な種類、治療について説明します。
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頭痛はその原因や性状により、いくつかの種類に分類されます。
- 一次性頭痛
一次性頭痛は、他の基礎的な健康問題によるものではない(二次性ではない)
頭痛のことを指します。
片頭痛
緊張型頭痛
三叉神経・自律神経性頭痛など - 二次性頭痛
二次性頭痛は、何らかの基礎的な問題があり、それにより引き起こされる頭痛のことを指します。
頭や頸の外傷・障害による頭痛
血管障害(脳出血や動脈の障害)による頭痛
てんかんなどの疾患による頭痛
カフェインなど、物質またはその離脱による頭痛
風邪を引いた際など、感染症による頭痛 など - 有痛性脳神経ニューロパチー、他の顔面痛及びその他の顔面痛
脳神経の障害による顔面痛など
上記のような頭痛の分類は国際的な頭痛分類で定義されており、重複することもあります。
病院で頭痛に関する診察を受けず、なんとなく「頭痛もち」や「片頭痛もち」として過ごされている方も、頭痛の種類がはっきりすれば適切な治療を受けられる場合があります。
続いて、代表的な頭痛の種類とその治療について解説します。
- 片頭痛
・特徴: 一次性頭痛の中で患者さんの数が緊張型頭痛についで二番目に多く、医療機関を受診する理由となる頭痛としては一番多いとされています。頭痛は片側で、拍動性であることが多いですが、必ずしもそうとは限りません。日常的な動作により頭痛が増悪し、吐き気や光・音過敏(光がまぶしく、音がうるさく感じてしまう)を伴います。前兆と言って、頭痛を生じる5~60分ほど前から特徴的な症状(閃輝暗点:視界にギザギザしたものが広がる、失語:正しく言葉を喋れなくなる、など)がある方もいます。
・治療: 痛みが強いときの治療として片頭痛に対する特別な治療薬であるトリプタン製剤の内服・点鼻・皮下注射、鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)、吐き気止めの内服を行います。予防薬として抗てんかん薬(バルプロ酸など)、β遮断薬(プロプラノロールなど)、抗CGRP抗体・受容体抗体(ガルカネズマブ、フレマネズマブ、エレヌマブ)の皮下注射などがあり、特に抗CGRP抗体・受容体抗体の治療効果が高いとされています。 - 緊張型頭痛
・特徴: 一次性頭痛の中で患者さんの数が最も多いとされています。一般的に両側性で、圧迫感や締めつけられるような痛みがあります。痛みは日常的な動作により悪くならず、吐き気は伴いません。頭頸部の筋肉の緊張が頭痛を悪化させると考えられています。
・治療: 痛みが強いときの治療として鎮痛薬(アセトアミノフェン、ロキソプロフェンなど)の内服、予防療法としてアミトリプチリンなどの内服を行います。認知行動療法、鍼灸が効果を示すとする研究結果もあります。 - 群発頭痛
・特徴: 突然の非常に激しい痛みが、片側の目の周りや顔の一部に出現し、数分から3時間続きます。頭痛と同時に目が充血したり涙が出たり、鼻が詰まったりします。頭痛は慢性的に起こる場合もあれば、3ヶ月以上頭痛がおこらない時期を挟んで繰り返したりします。
・治療: 痛みが強いときの治療としてトリプタンの皮下注射、高濃度酸素吸入などが行われます。また体の外から神経を刺激するニューロモデュレーションの効果も報告されています。 薬剤の使用過多による頭痛
・特徴: 以前から頭痛をもつ患者さんにおいて、薬剤(頭痛治療薬)の使用過多に関連して増悪する頭痛のことです。頭痛を治すための薬で頭痛が悪くなる、というのは矛盾しているように思われるかもしれませんが、片頭痛慢性化の最も多い原因は薬剤の使用過多といわれています。薬剤の種類によって定義が異なりますが、月に10~15日ほどの日数薬剤を内服している場合は使用過多にあたる可能性があります。
・治療: 原因薬剤の中止、薬剤中止により起こる頭痛への対処、予防薬投与が行われます。重症な例では入院で治療することもあります。治療により頭痛が改善しても、再発することがしばしば見られます。
どんなときに受診したらよいかなどについては、頭痛Q&Aを御覧ください。