最終更新日:2024/03/04

アルツハイマー型認知症について

アルツハイマー病の診断と治療
 アルツハイマー病は、海馬をはじめ大脳皮質の萎縮が起こり、記憶力や実行機能などの認知機能がゆっくりと低下していく病気です。アルツハイマー病の原因として注目されている物質に、アミロイドβ蛋白とタウ蛋白があります。アミロイドβ蛋白が脳の神経細胞に蓄積し、更にタウ蛋白が溜まって神経細胞が破壊されるという仮説(アミロイド仮説)が提唱されています。この中ではアミロイドβの脳への蓄積は、実はアルツハイマー病による認知症(アルツハイマー型認知症)の発症よりも20年以上前からゆっくり進行しているとされています。

 2023年12月にアミロイドβを除去する「レカネマブ」という薬剤が日本でも発売され、アルツハイマー病でも疾患の進行を抑制する治療(疾患修飾治療)の幕開けとなりました。「レカネマブ」投与の対象となるのは、アルツハイマー病により軽度認知障害(MCI)の状態にあるか、軽度の認知症(軽度のアルツハイマー型認知症)になっている患者さんだけで、予防薬として使用することはできません。検査としては認知機能検査(神経心理検査)や頭部CT・MRI、脳血流SPECT検査などこれまで行われていた認知症検査が先に行われます。疾患修飾治療の対象となる可能性がある患者さんに対しては、検査希望があればアミロイドβの沈着を確認するためにアミロイドPET検査または脳脊髄液検査のいずれかを行います。脳でのアミロイドβ沈着が確認された場合は「レカネマブ」投与の対象となります。レカネマブは点滴の薬であることや薬剤の副作用の発生に注意しなければならないこともありますので、患者さん・ご家族と十分話し合った上で治療法を選択します。いずれにしても疾患修飾治療の登場により、アルツハイマー病を早期に診断することや他の認知症病型と鑑別することの意義が高まったといえます。

もの忘れ外来について
 当院ではもの忘れ外来を開設し、認知症の早期診断に取り組んでいます。神経心理検査、頭部MRI、脳血流SPECT、アミロイドPET検査、脳脊髄液検査など各種検査に対応しておりますので、気になる症状がある方はお気軽にご相談ください。

受診について
 当院のもの忘れ外来は完全予約制です。かかりつけ医を通じて予約をお取りいただくとスムーズに受診できます。
 認知症の診断に必要な問診や神経心理検査は、患者さんご本人の普段の様子を知る家族からの情報も必要です。できる限りご家族と一緒に受診されることをお願いしています。