最終更新日:2022/03/15

胃・十二指腸は、良性潰瘍も多く、正確な内視鏡診断による癌との鑑別が必要です。胃癌治療も、内視鏡治療、外科手術、抗癌剤治療など、癌の進行度により様々な治療法があり、治療法の組み合わせにより体への負担を少なくしながらより高い治療効果を得ることもできます。

胃・十二指腸潰瘍

胃・十二指腸潰瘍の原因としては、ヘリコバクターピロリという細菌とNSAIDs(エヌセイドと読みます)という解熱・鎮痛剤が2大原因です。日本人のピロリ菌の感染率は低下しつつあり、一方で、高齢化に伴う骨・関節疾患や心筋梗塞や脳梗塞などの血管疾患が増加しており、その治療や予防のためにNSAIDsが使用されることが急増しています。NSAIDsは痛み止めであり、潰瘍の痛みも隠してしまうため、NSAIDs潰瘍は無症状でありながら突然重篤な状態で発症するという特徴があります。当科では、NSAIDs潰瘍の予防と治療に関して、学会や論文で多くの研究成果を報告してきています。

胃癌の内視鏡治療

胃癌の内視鏡治療胃癌の内視鏡治療は、内視鏡的粘膜切除術(EMR)行われてきましたが、より大きな癌でも完全に切除しうる方法として内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)が開発されました。当科でも、保険診療で施行可能となる以前の2002年より臨床研究としてESDを導入し、2012年3月時点で施行数は1300例を超えており、全国的にもハイボリュームセンターとされています。また、患者さんの全身状況によっては、より短時間で施行可能な焼却療法などの他の治療法も行う場合があります。