最終更新日:2022/08/05

香川県立中央病院 腎センターについて

 当院2階に腎センターがあります。血液透析治療のみを対象としたセンターと思われがちですが,下記のようにさまざまな診療や治療を行っています。

腎機能障害が進行した患者さんの治療について

 腎臓の機能が正常の10%以下まで低下してくると,尿から老廃物や余分な水分が適切に排泄されなくなります。そのため老廃物や毒素が体内に蓄積してしまう尿毒症や,水分過多による心不全などを発症する可能性があり,本来は腎臓を介して尿中に捨てている老廃物や余分な水分を除去していく透析療法(腎代替治療の一つ)が必要になります。
 腎代替療法には,血液透析,腹膜透析,腎臓移植の3つの治療があります。治療法には長所・短所がありますので,腎代替療法選択外来を受診するなどし,患者さんにあった治療法を主治医と相談の上で選択することが重要です。

血液透析(HD)

 血液透析は,患者さん自身の腎臓の代わりに,人工腎臓のフィルター(ダイアライザー)を介して,血液から老廃物や余分な水分を取り除く治療です。血液を血管から取り出してダイアライザーに通す必要があるため,あらかじめ血液透析を始める前に,シャント手術が必要になります。1回の治療でおおむね4~5時間の治療時間を要し,週3回(月・水・金もしくは火・木・土)行います。

 腎センターには,16床の透析ベッドがあり,午前・午後の2クールで,治療を行っています。当院では,入院していただいた上で導入期や急性期の血液透析を行い,退院後は患者さんの利便性を考慮し最寄りの透析医療機関へご紹介しています。

腹膜透析(PD)

 腹膜透析は,腹部に埋めこんだ特殊なチューブを使って,腹腔内に透析液を入れ、腹膜を介して水や老廃物を取り除く治療です。寝ている間に機器が自動的に透析液の交換を行う方法や,日中に1~4回程度,手動で透析液の交換を行う方法などがあります。通院は月に1回程度で,日々の治療は自宅にて患者さん自身により行います。そのため,時間的拘束が少なく仕事などの社会的活動が可能です。
 自身の腎機能が完全に廃絶する前に導入することが望ましいため,血液透析と比較して,導入時期が早くなります。また,腹膜透析を始めるにあたっては,あらかじめ腹部に透析用の特殊なチューブを手術で留置しておく必要があります。腹膜透析のみでは,老廃物や余分な水分を取り除くことが不十分な場合には,週1回の血液透析を併用した治療も行っています。当院では,腹膜透析の導入を行ったあと,患者さんの利便性を考慮し,最寄りの透析医療機関へご紹介しています。

在宅血液透析(HHD)

 自宅に透析機器を設置し、患者さん自身で血液透析を行います。投薬や検査のための通院は月に1回程度で,腎センターの臨床工学技士(CE)が,定期的に患者さん宅を訪問し,機器メンテナンスやシャント穿刺アドバイスを受けながら治療を行います。
 仕事や家庭生活に合わせた透析ができますが,自宅で血液透析をするため,治療の準備や後片付け等,全て患者さん自身で行わないといけない治療です。また,自宅で安全に血液透析が行えるよう,透析機器に関する知識やシャント穿刺の技術習得などの教育期間が必要となります。
なお,臨床工学技士(CE)の業務負担軽減のため,現在,新規の在宅血液透析導入は行っていません。

腎臓移植

 当院は腎臓移植実施施設でないことから,患者さんの希望に応じて,日本臓器移植ネットワークに登録された腎臓移植実施施設に紹介しています。

特殊血液浄化療法

 透析治療は,おもに末期腎不全の患者さんを対象とした治療ですが,その手技や治療法は,さまざまな疾患の治療に応用されています。腎機能が一時的に著しく低下し,その回復までのサポートを行う透析治療,あるいは病気の原因となっているタンパク質を患者さんの血管内から血漿ごと交換したり,原因物質(タンパク質や血球)を除去したりする治療(アフェレシス治療)があります。
 アフェレシス療法が適応される疾患は,自己免疫疾患を中心に感染症から薬物中毒まで多岐にわたっており,急性期病院である当院では治療介入の依頼が多く,当該診療科医師と連携をとりながら,臨床工学技士(CE)の協力のもと対応しています。年によってバラつきがありますが,年間80~130症例の血液浄化療法を施行しています。
                        血漿 : 血液から血球成分を取り除いた液体成分

腎代替療法選択外来について

 慢性腎臓病(CKD)の患者さんやその家族の方を対象としており,腎機能が低下し,腎代替療法のことを考えていく時に受診する外来です。腎代替療法専門指導士の資格を有するスタッフを中心に,療法選択にあたり必要な情報の説明や提供をします。この外来では,患者さんの不安や体調に関すること,患者さんが希望する生活を続けるためにはどの治療法がいいか,また,透析治療を受けることで,生活にどのような影響を与えるか,腎センタースタッフと一緒に考えていきます。
現在,毎週水曜日(午後)に療法選択外来を開設しており,腎臓内科に通院中,あるいは腎臓内科に紹介された患者さんを対象としています。
  腎代替療法専門指導士 : 慢性腎臓病(CKD)の腎代替療法の選択・療養指導に関する基本知識
               を有した医療スタッフ

腎臓病教室(ほじほじの会)

 年1回開催しています。医師,看護師,管理栄養士,薬剤師が,腎臓を守るためのコツをわかりやすくお話しします。慢性腎臓病(CKD)の方やその家族など、どなたでもご参加いただけます。
(2022年6月 当院講堂にて開催いたしました)
  参加ご希望の方は,当院 腎センターに,お電話でお問い合わせください。

  香川県立中央病院 腎センター
  受付時間帯:月曜日~金曜日 14時~16時
  電話番号 087-811-3333

 ほじほじの会 :
   名前の由来は,保存期腎不全(透析が必要でない時期のCKD)を,できるだけ長く保持する