最終更新日:2024/11/14

香川県立病院では、平成16年度よりクリニカルラダー(現キャリアラダー)を導入し、看護師のキャリア支援として運用してきました。しかしここ数年の新任看護師の採用人数の増加などにより部署の看護師の年齢構成や経験年数が急速に変化してきました。このような中、質の高い看護ケアの提供を担保するために、部署で必要な看護実践能力を具体的に可視化し、その向上を図る必要がありました。
そこで中央病院では副師長会が中心となり、平成26年度から、部署が標榜している診療科で、求められる看護実践能力を「ニーズを捉える力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」の領域に分類しました。キャリアラダーのⅠ、Ⅱ、Ⅲの各段階において期待される看護の核となる実践能力を示す「分野別ラダー」を開発、導入しました。

分野別ラダーの特色は、
1)各分野でそれぞれ評価指標があるため、個人が自発的に学習するためのツールとして活用できること
2)個人と部署の看護実践能力の把握と部署におけるリソースナースの可視化が可能になること
3)新任者の教育だけでなく、中堅看護師の人材育成ツールとして活用できるものになっている
などが挙げられます。

分野別ラダーとは、各部署が標榜している診療科ごとに分野として区分したものを指し、ビギナー、I、II、IIIの4段階に分け段階ごとに表1の如く求められる能力を定めています。各部署の診療科で必要な看護実践能力を4領域(「ニーズを捉える力」「ケアする力」「協働する力」「意思決定を支える力」)に分け、看護師が達成しなければならない目標設定、評価の基準設定などを各分野、各ラダー段階に合わせて作成したものをいいます。分野別ラダーを運用することで、求められる看護実践能力が可視化できることで自己学習が進めやすい、スキルアップに繋がったなどと職員の評価は高いものとなっています。将来的には各部署間の応援体制で、欲しい人材を分野別ラダーの取得状況にあわせて、投入できる事も期待できるものです。令和6年10月時点では41分野を作成し、運用しています。

「分野別ラダー」の各段階別に求められる能力

※外来部門はこの限りではない。

  定義 求められる能力 評価時期
の目安
備考
ビギナー ラダーIが認定される前で、基本的な看護を指導されている期間   夜勤導入時期 夜勤導入時期に習得すべき看護実践能力の項目は、各部署で選定し、夜勤導入時期を目処に習得できるよう部署で支援し、その項目が認定された段階で夜勤独り立ちの時期とする。
ラダーI 基本的な看護手順に従い必要に応じ助言を得て看護を実践する ・代表疾患の症状の観察ができ、異常が分かり、ケアができる
・代表的疾患のパス入院を受け持つことができる
・検査前後の看護ができる
8月と1月
(通年)
1年を目途に認定されることを目標とする
ラダーII 標準的な看護計画に基づき自立して看護を実践する ・代表的な中等度重症疾患患者を受け持ち、看護ができる
・症状のアセスメントができ、状況に応じた看護ができる
・患者・家族に状態やケアの説明ができる
・必要な項目に対する患者指導ができる
8月と1月
(通年)
ラダーIIの到達時期は各部署に任せる
ラダーIII ケアの受け手に合う個別的な看護を実践する ・個別性のある患者指導ができる
・重症患者について看護できる
8月と1月
(通年)
ラダーIIIの到達時期は各部署に任せる

部署と分野別ラダーの内訳

部署名 主な該当ラダー
4階 産科、未熟児、小児科、婦人科、消化器外科、耳鼻科・頭頚部
5東 婦人科、乳腺・内分泌外科、筋・骨格、放射線治療看護、がん化学療法看護
5西 循環器、心臓血管外科
6東 肝臓内科、循環器、神経内科
6西 脳神経外科、神経内科、退院支援
7階 筋・骨格、口腔外科
8東 消化器外科、がん化学療法看護、放射線治療看護
8西 消化器内科、糖尿病、眼科、がん化学療法看護
9東 泌尿器科、腎(透析)、耳鼻科・頭頚部、がん化学療法看護
9西 呼吸器、がん化学療法看護
10東 血液内科、がん化学療法看護
10西 緩和
救命病棟 救命センター
ICU ICU
HCU 救急外来、放射線科
手術室 手術看護
救急外来 救急外来、放射線科
内視鏡センター 内視鏡看護
通院治療センター がん化学療法看護
腎センター 腎(透析)
外来 外来看護、放射線治療看護
中央処置室 中央処置室看護
検診センター 検診看護
患者サポート
センター
入退院支援