最終更新日:2023/08/31
各科からの紹介患者総患者数と科別患者数の推移グラフ
『治療前のリハビリテーション』依頼患者 総患者数と科別患者数の推移グラフ
部門別担当患者数推移グラフ

部門別新患患者数

  

 2022年度、当院でリハビリテーションを行った患者さんは4,396人でした。部門ごとにみると、理学療法(PT)部門は4,140人で2021年度に比べ約600人減少していました。作業療法(OT)部門は1,050人で200人減少、言語療法(ST)部門は852人で50人増加していました(図3)。

理学療法部門

 理学療法士は、下肢や脊椎の整形外科疾患さんや脳神経外科患者さん、また、内臓疾患のため活動力が低下した患者さんなどについて、歩行や四肢の運動などの基本的な活動の回復・維持や、呼吸・循環等の内臓の機能向上のために関わります。
 先述のように、予定された手術を受ける患者さんについては、術前からコンディション作りを行い、円滑に術後のリハビリテーションを始めています。

作業療法部門

 手指~上肢の機能障害や、記憶力・注意力の障害や社会性の障害などの高次脳機能障害のために、日常生活や職業活動、また、趣味的な活動などに支障を来す状態になった上肢の外傷の患者さん脳神経疾患の患者さんのリハに取り組んでいます。
  近年では、内臓疾患や大腿骨近位部骨折のため入院された高齢の患者さんが、心身の活動性を維持するために関わらせて頂く機会も増えています。また、がん患者さんQOLの維持や心理的サポートの面での作業療法の役割は重要です

言語療法部門

 言語障害や高次脳機能障害が発生した患者さん、また、嚥下障害が発生した患者さんに対応しています。脳・神経疾患、頭頚部・口腔疾患の患者さんに加え、高齢で嚥下機能が低下していたり、短期間の欠食期間でも嚥下機能が低下してしまう患者さんが多くいらっしゃいます。
 近年、患者さんの栄養状態がリハビリテーションの成果に大きく影響することが明らかになっています。患者さんが安全においしく食事をとれるように、また、状態により最善の栄養摂取の方法を実現するため、各診療科の医師、看護師、NSTチーム、口腔ケアチーム、理学療法、作業療法のスタッフなどと協力して活動しています。

その他の取り組み

 当院の入院患者さんの多くに、胸部・腹部のCT画像で脊椎圧迫骨折が見つかります。日本骨粗鬆症学会のガイドラインによれば、脊椎に脆弱性骨折がある患者さんは、骨粗鬆症の薬物治療対象者です。
当科では、可能な範囲で、脊椎脆弱性骨折を有する患者さんについて、主治医と相談の上、骨粗鬆症関連の検査と骨粗鬆症の薬物治療をお勧めしています。また、安定した状態で治療可能と思われる場合、かかりつけ医の先生方に骨粗鬆症の薬物治療をお願いしております。
 また、骨吸収抑制剤の投与にあたり、顎骨壊死のリスクの程度を診断していただくため、多くのかかりつけの歯科医の先生方にご相談させていただいております。ご多忙のところ恐縮ですが、顎骨壊死のポジションペーパーの内容に沿う方針で、ともに御加療いただければ幸いです
 骨粗鬆症の治療は、骨折を予防し、寝たきりになることを防ぐだけではなく、生活習慣病のコントロールにも有用です。また、骨粗鬆症に対して、薬物療法、食事療法、運動療法を行うことは、サルコペニア、フレイルの予防に繋がります。患者さんのQOLを守るため、骨粗鬆症の長期的な治療についてご助力いただければ幸いです。